業界を問わず、多くの企業が抱える人に関わる問題。その中で経営者は常に働き方改革による健全な企業経営を目指している。さらに継続的な成長を続けるため、独自性の獲得も大切な要素であると言える。本企画では毎月1 回、現場の生産性向上、他社との差別化につながる商品や商材、技術をあつかう注目企業を紹介する。
株式会社田中食品興業所
代表取締役社長
田中利明 氏
〈プロフィール〉1954 年11 月生。77 年関西大学工学部卒業後、79 年㈱田中食品興業所入社。83年取締役社長室長へ俊任。その後取締役開発部長、常務取締役、取締役副社長を経て、2001 年より同社代表取締役社長を務める。
大阪府堺市堺区遠里小野町2-4-26
072-238-0281
▶まずは簡単に御社の概要や歴史をお聞かせください。
1949 年創業の当社は、2019 年に70 周年を迎えます。「食」を通じ国民生活の向上に携わり、常に市場のニーズをキャッチしながら、今日までまいりました。2010 年には中国に合弁会社を設立し、世界進出へも踏み出しています。
近年はかつてないほど「食」の重要性が求められていると感じています。それにお応えするのが、創業から変わらず守り続けられてきた「Tanaka FoodsQUALITY」です。「安全・安心への取り組み」はもとより、これまで培ってきたタナカフーズの「提案力」「企画力」「開発力」「生産力」を活かして、さまざまな貢献に取り組んでおります。
▶御社の強みや特徴、そこから経営者・現場にとって生産性の向上へとつながる部分についてお聞かせいただけますか。
弊社のモノづくりは、常にお客さまの「欲しい」の先を行く問題解決から始まります。たとえば昔、とあるベーカリーではマーブル状のパンを作るため、パン職人が苦労していました。当時パン生地にクリームを均一に塗り広げることは、職人の技を必要とする高度な作業であったためです。この問題の解決にお客さまとともに取り組むことで、弊社はクリームのシート(フラワーシート)を開発するに至りました。
そして現代、お客さまの悩みは技術的な部分から生産性や時間的な問題へと、シフトしているように感じます。たとえばソース作りに欠かすことのできないソテーオニオン。手間をかけ、低温でじっくりと玉ねぎを炒めることで、その旨みは最大限引き出されます。しかしそこに手間をかけるほど、時間や人材に余裕のある企業ばかりではありません。またそれ以上に、お店としてのこだわりをしっかりと表現していかなければ、店舗・事業としての継続も危ぶまれる時代です。多くのお客さまが同じような悩みを抱えていらっしゃいます。そこで時間や手間がかかる部分を弊社にお任せいただくことで、お客さまが優先度の高い、必要なことをきちんと行なっていただけるよう取り組んでいます。ときにはこちら側から提案させていただくこともあります。