北村剛史
Takeshi Kitamura
㈱ホテル格付研究所 代表取締役所長
㈱日本ホテルアプレイザル 取締役
不動産鑑定士、MA(I 米国不動産鑑定士)、FRICS(英国ロイヤル・チャータード・サベイヤーズ協会フェロー)、CRE(米国不動産カウンセラー)
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科附属システムデザイン・マネジメント研究所研究員。ホテル・旅館の不動産鑑定評価会社である㈱日本ホテルアプレイザルの取締役。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では「ホテル・旅館の人格性、パーソナリティー」をテーマに研究活動に従事
宿泊体験から人格特性を感じる場合、それが客層の統一感にも影響を与える結果、安心感等となり顧客満足度に影響することが分かっています。そこで今回はホテルや旅館で得られる体験を、サービス要素別に分解し、そこから浮かび上がる宿泊施設の人格特性を改めて考えてみたいと思います。
宿泊体験のサービス要素分解に当たっては、弊社が有する2115 項目の調査シートを参考とすることにします。弊社のサービス要素では、「バリアフリー」、「維持管理」、「清潔感」、「プライバシー」、「安心安全」、「正確性」、「迅速性」、「環境配慮」、「機能性」、「ていねいさ」、「快適性」、「海外対応」、「業務専念」、「情報提供」、「顧客配慮」、「地域文化性」、「共感性」、「積極性」、「意匠性」の合計19 要素に分けています。ホテルや旅館で提供されるサービスとは、背後に顧客に対する思いやサービス哲学があります。したがってサービスを要素別に分解し、それらサービス要素の組み合わせから背後人格を抽出することが可能なはずです。今回、それら19 サービス要素別にどのような人格特性を感じるのかを調査しました(弊社実施、全国200名男女に対するインターネットアンケート調査、2018 年)。総じて言えることは、提供サービスは関連するサービス要素に分けられ、そのサービス要素別にさまざまな性格特性の組み合わせが連想されること、また宿泊施設のサービス要素では「快適性」、「ていねいさ」、「清潔感」に関する項目が約半数を占めていることから、性格特性では「神経質傾向」、「誠実性」が総じて高く感じ取られており、以下のような性格特性と年齢男女別人格性との関係(相関係数による)より、男女別では「女性」人格をより強く感じ、年齢別では「中年層」を連想しやすいことが分かります。また、例えばサービス要素では「顧客配慮」を引き上げる程、「女性」の質感が増す様子がうかがえます。