■「名古屋プリンスホテル スカイタワー」は、雰囲気が昨年開業した「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」にも似た印象です。宿泊主体型ラグジュアリーというカテゴリーのようですが、その営業戦略は。
ビジネス利用としては、まずは複合施設「グローバルゲート」に入居される企業関連のお客さまの利用を想定しております。ホテル開業が10 月2 日、2 ~ 4 階に入るコンベンションホールは1 日に、ほかの商業施設やオフィスなどグローバルゲート全体は10 月5 日にオープンしました。コンベンションホールは30 ~ 475㎡の大小会議室21 室と最大で616 名が入る多目的ホールを備えております。ホテルと大規模なコンベンション施設が同じ建物内に入るのは名古屋初ということで、地元企業の国際会議をはじめ、沖縄や京都などに集中している学会などを積極的に誘致し、コンベンションホールと宿泊のセット利用の販売を強化していきたいと考えております。
地元のお客さまにつきましては、眺望が魅力の31 階のレストラン「Sky Dining 天空」でのランチ、ディナー、バータイムの利用を想定しております。ホテル単独ではなく、シナジー効果としてグローバルゲート内の商業施設のテナント各社や隣接するストリングスホテル名古屋さまとも協力して、ビルや町全体が回遊して楽しめる場所となり、にぎわうことを目標にしております。
宿泊客については、国内8 割、インバウンド2 割を想定しており、単なる東京から関西へのコールデンルートの通過点としてではなく、名古屋に滞在していただくために、名古屋周辺の魅力を改めて見直し、観光や旅のご提案も積極的に行なっていきます。名古屋市内には、リニア・鉄道館、トヨタ産業技術博物館など「大人の社会科見学」ができる魅力的な施設がいくつかあり、ひつまぶしや串カツなど名古屋めしという名物料理のジャンルも確立していて、名古屋出張の〝ついで″に楽しめる要素がちりばめられていますので、さらなる1 泊(延泊)を狙っていきたいと思います。また、ファミリー向けにはこの夏、レゴランド・ジャパンも開業しました。ホテルの最寄り駅である、あおなみ線ささしまライブ駅から、直通電車で約22 分の場所にありアクセスも良好です。名古屋にじっくりと滞在して魅力を存分に堪能して欲しいですね。そのため、国内のプリンスホテルファンのお客さまにも、まずは、名古屋で観光を楽しんで「名古屋プリンスホテル スカイタワー」に1 泊してから、近県の三重や長野へ、あるいは、京都や広島など西日本のグループホテルと組み合わせた旅の提案をしていきたいと思っています。
スタッフは約50 名のうち、新入社員が17 名。10 人ほどが地元採用です。東京と大津のプリンスホテルで研修を重ね、8 月から名古屋でトレーニングを行ない、10 月2日のオープンに至りました。スタッフ全員が「名古屋の観光大使」であることを自認し、前にお話しした観光地としての魅力を見出し、「名古屋めし」のいわれや特長、食べ方などを積極的にお客さまにお伝えする努力を惜しみません。また、社員に関しては、ステップアップしていずれは支配人になるレベルの人材を採用しておりますので、今後、国内外のホテルでの勤務、経験も含めグローバルに育てたいと思っております。
■ 名古屋の宿泊需要は圧倒的にビジネスが多いとのことですが、インバウンドはどのようなターゲット層を描いていますか。
現在は、台湾などアジア圏からのお客さまの利用が主ですが、ニューヨークやパリ、オーストラリアなど海外のセールス拠点も増えましたので、中長期滞在型の旅をされる欧米、豪州のお客さまも積極的に獲得していく所存です。
■「プリンス スマート イン」という新たなブランドの創設も予定されています。名古屋では簡易型を含めたホテルが来年にかけて続々と開業予定のようですが、どのようにとらえていますか。
次世代型の宿泊特化型ホテルブランド「プリンス スマート イン」は2019 年度をめどに、日本全国各都市に本格導入を考えております。具体的な都市や展開計画はまだ申し上げられませんが、それまでに既存の「プリンスホテル」ブランドのさらなるレベルアップ、底上げをしっかりと行ない、きちんと差別化を図りたいと考えております。加えて申し上げますと、日本は名古屋にとどまらず、東京や大阪においても町の規模が大きいにもかかわらず都市型のラグジュアリーホテルの評価が低いと感じています。今後はニューヨークやロンドンのレベルまで、ホテルの価値を高めていきたいと思っています。