最近、フランスのガストロノミー料理界で成功している日本人シェフが増えている。その中で、特にトレンディーなパリっ子の心を捉えている自由で革新的な日本人オーナーシェフ(6人)にインタビューして、その個性と魅力を探ってみた。
今年の2月に、開店後5カ月という史上最短でミシュラン1ツ星を獲得したレストラン「L’ARCHESTE(ラルケスト)」の伊藤良明オーナーシェフ。食材至上主義を徹底的に貫くシェフが演出する無駄のないレストランだ。
プロフィール
1976 年千葉県生まれ。95 年「平松」に入社。2002 年「ひらまつパリ」に赴任して、10 年間総シェフを務める。14年から2年間食材の修業をする。16 年9 月 レストラン「ラルケスト」開店。17 年2 月 ミシュラン1ツ星獲得。
レストラン「ラルケスト」
(Restaurant L’Archeste)
住所:79 rue de la Tour 75016 Paris
Tel:01.4071.6968
URL:www.archeste.com
営業時間:
昼 12:00 ~ 13:30(L.O.)
夜 20:00 ~21:30(L.O.)
休業日:土曜日( 昼)、日曜日、月曜日
おまかせコース料理:
昼 48 ユーロ(3 品)、68 ユーロ(6 品)
夜 98 ユーロ(7 品)
Q.「ラルケスト」という名称の意味は。
レストラン業に必要な要素を表現するフランス語のいくつかの単語「Orchestre」(オーケストラ)、「Artisanat」(職人芸)、「Architecte」(建築家)、「Artiste」(アーティスト)を合わせた造語です。
Q. 伊藤シェフの料理の特徴は。
メニューを決めて、その食材を仕入れるのではなく、マルシェや産地直送で仕入れる高品質な食材を使って表現する季節感のあるおまかせ料理です。その日の仕入れに応じて、肉や魚の料理は毎日変わることもあります。調理法は基本的にクラシックですが、火の入れ加減や表現法などは、誰かのまねをしたことはありません。
お客さまが食べたときに「ハッと」して貰える料理を目指して、常に探求しています。最高品質な食材を尊重するミニマリストな料理です。手を掛けすぎず、盛り付けの装飾で食材を殺すようなことはしないように常に心掛けています。日本の食材は、意識的に使ったり、使わないということはありません。日本人なので、柚子胡椒、ほうじ茶など、何かの食材と合わせたら面白いと思ったときには使うこともあります。