今でも世には「成功の法則」、「プロが教えるテクニック」といった本があふれているが、成功やプロのテクニックというのは見たり聞いたりしたくらいで簡単に身に付けられるものではない。実践を積み重ね、現状に満足せず、さらなる上を目指す姿勢が必要だ。
先日、『Forbes JAPAN 10 月号』(プレジデント社)を読んでいたところ、田坂広志氏のコラムに「プロが育たない理由」と題し、興味深いことが書いてあった。テレビの野球中継で落合博満氏が解説をしており、切れ味鋭いフォークボールを投げるピッチャーが三振の山を築いていた時、アナウンサーが「落合さんなら、あの鋭いフォーク、どう打ちますか?」と質問をしたところ、落合氏は飄々と「あの球は、鋭く落ちるから、落ちてから打ったのでは、打てない。だから、落ちる前に打てば、良いんですよ」と答えたのを聞いた田坂氏は「なるほど」と納得してすぐ後に、この話の怖さに気がついたというのだ。見事な解説を聞き、自身もそのフォークが打てるように感じてしまったと。そして、それが野球の話だけでなく、いかなる分野でもプロフェッショナルの世界においてわたしたちが陥りがちな落とし穴であると気がついたからだという。
FROM THE PUBLISHER ——太田 進——
“プロ”とは
【月刊HOTERES 2017年09月号】
2017年09月22日(金)