石川県七尾市。観光地として著名な能登半島のど真ん中にある。和倉温泉にも近く海産物豊富なところだ。かつては建具や繊維業が盛んで特殊な技術も持った有能な職人が今も多く存在している。しかし過疎化や高齢化の波が押し寄せ仕事が減少し、街の活気が薄れてきた。この現状を打破し七尾市に活気を取り戻したいと立ち上がったのが、イスに特化したリフォーム事業に着手した㈱エフラボの松井正尚社長だ。高校新卒からシルバー層まで幅広い年齢層を指揮するための人材育成や魅力ある企業作りへの取り組みについてお聞きした。
福永 シルバー層の職人も雇用されイスに特化したリフォーム事業を立ち上げられたと伺いました。そもそも、イスに特化した事業を始められたきっかけは何だったのでしょうか。
松井 工場のある七尾市では古くから建具や繊維業などが盛んであったことから技術をもった職人が多くいますが、過疎の影響などから仕事が減少しています。そこで地域貢献と環境にやさしい企業を目指して、イスに特化したリフォームを平成19年よりスタートしました。培ってきたそれぞれのきめ細かな職人技をイスの再生に役立てることで、定年後のやりがい、生きがいにとなってほしい、廃業の悲しさや苦しみを新たな働き場所で癒してほしいという思いと、これから羽ばたく若者への技術継承者となってほしいという願いからスタートしました。私はもともと地元基盤としたインテリア関連のシンコール㈱の経理を担当しておりましたが、新規事業に当たり“どうせやるなら地域を超えたエリアでも貢献できる企業を目指していきたい”という思いから㈱エフラボを立ち上げたのです。当初は業界のルールをまったく分かっていませんでしたので、出入り企業専用の入口があることを知らず、ホテルの正面玄関から飛び込み営業に行って注意を受けるなど、いろいろなことがありましたね。お陰さまでいろいろな方からご紹介をいただくようになり、徐々にですがイスリフォームの仕事をいただけるようになりつつあります。
福永 ところで現在、従業員は何人くらいいらっしゃるのでしょうか。
松井 従業員は40 人です。アルバイト・シルバー人材を含めると60 人ほどになります。シルバーは60 歳〜73、74 歳の年齢層が勤めています。起業当初は限られた資金の中で運営をしていかなければなりませんでしたので、工場や倉庫を過疎化、少子化により廃校となった学校を活用したいと思い行政に掛け合ったのですが、民間企業への貸し出しは行なわないという結論でした。そこでシルバー雇用を視野に公的機関であるシルバー人材センターに借り入れていただくことで、シルバーの人材発掘の雇用が可能となったのです。私たちの目指す「地域社会に貢献できるものづくり」を実現できる土台を築くことができたのです。シルバー層はとてもていねいで根気があります。例えばイスのシートをはがす作業もイスを傷つけることなく仕上げます。時間的にも余裕がありますので安心してお任せすることができますね。
第84回
Wプロフェッショナルズ 「求められる人材を探る」
第84回 ㈱エフラボ 代表取締役 松井 正尚 氏 × ㈱フェイス 福永 有利子 氏
【月刊HOTERES 2017年07月号】
2017年07月21日(金)
㈱フェイス 代表取締役 福永 有利子 氏
㈱エフラボ 代表取締役 松井 正尚 氏