㈱五十嵐マネジメント・サポート
代表取締役コンサルタント
五十嵐 茂樹
〈Profile〉1954 年福井県生まれ。大学を卒業後、㈱ロイヤルで店長・エリアマネジャー・営業部長・教育部長を歴任し、その後、㈱アレフで営業統括としてびっくりドンキーの全国展開を指揮する。その後、多数の企業再生を手掛けた後、それまでの経験を元にプロ経営者としての道を歩む。2005 年㈱ジャパンフードシステムズ代表取締役社長(タパス&タパス)、08 年㈱コロワイド東日本代表取締役社長(甘太郎・北海道等)、12年㈱ダブリューピィージャパン代表取締役社長(ウルフギャングパックカフェ)・㈱レインズインタナショナル代表取締役社長(牛角・温野菜等)、14 年カッパ・クリエイト㈱代表取締役社長(かっぱ寿司)の再生を手掛けた後、16 年7 月より再びフリーランスとして企業再生への道を歩みだす。
http://www.igarashi-ms.co.jp/
数々の外食産業で事業再生に携わってきただけでなく、外資系ホテルチェーンでの学びと体験を生かして、ホテル・レストラン業の現状を分析・改革・向上につながる視点を「週刊HOTERES」読者にお伝えする。
企業の三悪
事業再生を成功させるためには、企業の三悪を退治しなくてはなりません。その三悪とは、①会議が多すぎ、②データ・書類が多すぎ、③ムダ・ムラ・ムリが多すぎ、といった現象です。これらを整理しない限り、どんなに立派な再生計画を作成しても、また、どんなに有効的なマネジメントサイクルを導入したところで良い成果を得ることはできません。それは、この三悪が業績カイゼンのボトルネックになるからです。そこで100 日プランの期間中にこの問題を解決しなくてはなりません。まず気になるのが、ほとんどの会社で会議が多すぎ、という点です。もちろん、業績検討や各種戦略会議は大切です。しかし、会議が多すぎるために、本来の業務であるカイゼンのための活動が疎かになっています。それでも、会議のための会議を開催し、資料のための資料作成に時間が使われています。そこで、これらの問題を解決するために、本当に必要な会議だけに絞り、資料も時間もできる限り少なくし、効果的な会議を開催することです。次に気になるのが、データや書類が多すぎ、という点です。どこの会社でも、本当に多くのデータがあります。それも、そのほとんどが使いこなされず、仕事のカイゼンにつながっていないものばかりです。それでも、より細かく分析することが仕事の成果に結びつくと考え、あれも、これも、といっている内にどんどんデータが増えデータモンスター状態になっている状態です。私は、組織の成長段階もありますが、データの量と成果には直接的な因果関係はあまりないと思っています。もちろん、最低限のアウトプットデータは必要です。そこで、マネジメント上必要なアウトプットデータの整理を必ず行ない、各数値の共有化も図ってゆきます。これは、重点課題、優先順位を明確にし、ベクトルを合わせながら進んでゆくためでもあります。そして最後は、すべての業務における、ムダ・ムラ・ムリが多すぎ、という点です。これには、問題意識のレベルの差がありますが、人や物、それに、お金や情報といったすべてにおけるムダ・ムラ・ムリの発見と、そのムダ・ムラ・ムリの退治を進めてゆくことは、事業再生や収支構造改革を進める上で要となるものです。そのためにも、まずは、企業の三悪の整理が必要になってきます。