空間はさまざまな目的に応じて多様な空気感を求められる。壁紙の色やデザイン、置かれたテーブルやイスなどにより空気感がガラッと変わる。かといってデザイナーの独りよがりな感覚で作り上げても賛同されないこともある。皆が満足する空間を作り出していくためには、かかわるメンバーの協力やモチベーションなくしてできることではない。“魅力あるデザインやこだわりのある空間を造りたい”という熱い思いで結果が出るデザインを追求している㈲デコラボ佐々木智美社長に特殊な技術や個性的な感性を持つ人材の育成などをお伺いした。
福永 佐々木社長は空間デザインなどにかかわっているとお聞きしましたが、そもそも空間デザインに取り組まれた経緯はどのようなことからだったのでしょうか。
佐々木 私は桑沢デザイン研究所を卒業後、学校では学べなかった商業アートワークの世界に魅了され、海外の古典的な技術、デコレイティブペイントや壁画、だまし絵的なウォールペイントなど実際の現場で多くの技術を学びました。天井に天使の絵を描いたり、だまし絵的に平面的な壁をペイントで描くことで凹凸感があるようにみせたり、木目や大理石のように表現も出来、見た目の雰囲気を変えることができるという特殊なものです。その後、さまざまな素晴らしい出会いやクライアント様からリクエストをいただく中でアートワーク(造形・特殊ペイント・壁画)から商業空間デザイン、店舗CI(企画、ロゴデザイン)やプレゼンシート(企画、製作)、ディスプレイや個人宅のインテリアコーディネートなどトータル的にさまざまな分野にかかわれるようになったのです。レジャーホテルやウエディングの施設、リゾートホテルや地域活性化を目的としたユニークなホテル作りなどにも取り組んでいます。今では建築や設計関係者との連携もとれるようになり、現場でともに協調しながら求められている空間や建築物、デザインまですべてを行なえるようになりました。
福永 技術職やこだわりの強い職人さんたちを指揮することはとても大変なことかと思いますが、どのようにして進められていらっしゃるのですか。
佐々木 職人さんはどうしても気質が強い印象があり、クライアント様からすればゼネコンの下請け的な感覚があります。そのように下請け的な印象を持たれていることに対しての反発心を持っています。しかし、下請け的な気持ちで職人さんと接しているといい仕事はできません。大事に守ってあげることが大切なのです。いい仕事をしてほしかったら、職人さんたちのモチベーションを上げていくことに注力することです。自身の仕事やポジションが認められれば働く意欲は高まります。常にポジティブマインドでいるためには、指揮する立場の者が、目配り気配りを図り接していくことが大切だと思います。