でた! 「お味はいかがですか」
ある団体から講演を頼まれて地方のホテルに出向いたときのお話です。主催者とホテルで食卓を囲み、次々と運ばれてくるお料理を楽しんでいると、終わりごろにイチジクの「から揚げ」とも、また「煮物」とも、いやこれが最後の水菓子のつもりだったのかとも思えるような、形そのままのお料理が綺麗な器に乗せられて出てきましたが、イチジクと言えば皆さんもご存じの通り、完熟すると中がピンク色に変わり、味も蜜味で私の大好物の一つなのですが、喜んではしをつけていると、あの甘い蜜味がまったくしてなくて、一言でいうと「うっ、不味い…」だった。なんでせっかくのイチジク独自の味を消す必要があるのか理解に苦しむが、それは今回置いといて、その後にタイミングよく出てきたスタッフから、お味はいかがでしたかと聞かれたが、はっきり言ってこれ美味しくないですとは礼儀として言えないから、結局美味しくいただきましたとつい言っちゃったが、ホテルを辞めてお客さま立場になると、ホテルってこっけいなことを聞くなと改めて感じてきた。リーダーの皆さん、美味しいですと偽りの言葉を言わせる努力より、何か全体的なアドバイスいただけたら嬉しいのですが、とでも言われたら伝えやすいのに。
正しい査定をしてあげる
あっちこっちのホテルのトップやリーダーの人とで話をすると、人がすぐ辞めていって困るという愚痴を聞くことがありますが、そんなとき、私は辞める理由の第一は正しい査定ができていないことにあると考えます。人の3 倍働いても同じ給料。普段はさほど働かない社員が、社長の見ているときだけ馬車馬のごとく働き、それで同じ給料ならやる気がしないのも当たり前なのです。大体社長やリーダーは曇りガラスで見ているから、裏の顔に気付けないのです。リーダーはもっともっと現場に出向き、そして給料の高いリーダーほどよく働かなければ、社員はついてこないし、本当の顔に気付けないでいるのです。もっと現場に張り付き正しい査定をしてあげるべきなのです。
第 118 回
鈴木 忠美 次世代リーダーたちに贈るメンタルケア術これからの人材育成
第 118 回「リーダー変われば社員も変わる」
【月刊HOTERES 2017年05月号】
2017年05月19日(金)