インバウンドゲストの増加にばかりスポットが当たっている昨今だが、実は在留外国人数もここ数年で大幅に増加している。一方で、彼らが病気を患った際に受診する病院や診療所の受け入れ態勢の整備不十分が大きな課題として浮上してきた。外国人が安心して旅や生活を送ることができる環境を保障するために取り組むべき最優先事項の一つだ。今回は、医療通訳不足に関するテーマを軸に据えこのテーマを取り上げる。
在留外国人やインバウンドが安心して
受診できる医療環境を
昨年6 月末の在留外国人数は、230万7388 人で、前年末に比べ7 万5199人(3.4%)増加。訪日外国人(インバンドゲスト)も2400 万人(平成27 年)と、日本で過ごす外国人の数が、ここ数年で急激に増加している。
こうなってくると、彼らに対する各種公共サービスに関しても、彼らの利用を視野に入れた体制整備が不可欠となる。
特に医療サービスについては、彼らの安全確保という観点からも早急な受け入れ態勢整備が望まれるところだ。
事実、彼らが抱く日本の生活環境に関する不満として、外国語の通じる病院・医師が不足していると指摘する意見が多い。
医療機関側の意見としては、受診の際に言葉が通じないことへの不安を訴える外国人が多く、勤務する職員なども「問診の正確性が下がり、的確な診断・治療を施せない」、「治療方針や入院に際しての注意事項等が伝えられない」など、医療の質の低下を懸念する声が多い状況となっている。
こうした状況を受けて、厚生労働省(厚労省)は、「外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)」を整備し、外国人患者の円滑な受け入れを図るための施策を推進しており、観光庁、都道府県と連携して、「訪日外国人旅行者受入れ医療機関」を全国約320 カ所選定するなどの対応策を講じてきた。
なお、前述の外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)の認証機関は、一般財団法人 日本医療教育財団である。医療に係る人材育成や能力評価事業が同財団の主要業務である。同財団はこの認証制度の認証機関として、「日本国内の医療機関に対し、多言語での診療案内や宗教への対応等、日本人とは異なる文化・背景等に配慮した外国人患者の受入れに資する体制の整備を目指す」としている。
第22 回
本誌 松戸敏朗 健康がKeyword レジャー・宿泊業界の新たな地平
第22 回 インバウンドゲスト・在留外国人が安心して受けられる医療体制の構築を
【月刊HOTERES 2017年04月号】
2017年04月28日(金)