今回取り上げるのは福島県南部の中心都市であるいわき市。首都圏への広域交通網が早くから発達し、東北を代表する産業拠点として機能している。今回はいわき市のマーケットともに、県南部のマーケットポテンシャルを見ていこう。また、福島県主要都市の震災後の人口規模や観光マーケットの動向も併せてまとめた。
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1. マーケットポテンシャル
福島県の都市構造について改めて確認しておこう。福島県は東北と関東の中間に位置し、北部は宮城県など東北との関係性が深く、南部は茨城県など関東との関係性が深い。県北部の県庁所在地である福島市、県南部で関東に近く産業拠点として発展したいわき市、さらに県中部の郡山市も含め、三市が拠点都市となる多極構造となっている。いわき市は常磐炭鉱に代表される石炭業や小名浜の水産業を基盤に発展してきた歴史があり、産業構造の変換後は首都圏に比較的近いことを生かし一大工業都市として発展してきた。近年は観光業に力を入れ、県を代表する観光都市となっている。また、1966 年の大規模合併によって広大な面積を持つ特徴がある。
以下にいわき市のマーケットを見ていこう。福島県のマクロマーケットに関しては前回の福島市編を参照していただきたい。
いわき市は人口33 万2068 人(2015年3 月末)を擁する中核都市である。これは福島県人口の17.0%のシェアを占め、県内で最も多い人口となる。ただし、県内2位の郡山市は人口32 万5026 人でありシェア16.6%を占め、いわき市と拮抗している状況だ。いわき市以外の県南部の都市を見ると、もうひとつの市部である白河市が6 万2680 人となっている。町部を見ると矢吹町が1 万7686 人、石川町が1 万6490 人、棚倉市が1 万4749 人、小野町が1 万846 人となり、それ以外の町村部は1 万人未満となっている。隣接する茨城県北茨城市は4万5710 人である。
過去5 年間の人口増加率(15 年/10 年)を見ると、いわき市は▲ 4.9%の減少となった。県南部主要都市を見ると、白河市が▲ 3.3%、矢吹町が▲ 2.3%、石川町が▲ 6.9%、棚倉町が▲ 4.3%、小野町が▲ 7.3%、茨城県北茨城市が▲ 6.4%となっている。東日本大震災において被害の大きかった沿岸部の中でいわき市は、双葉町の避難民を受け入れたことから比較的人口減少率が低い。
いわき市の年齢構造を見ると、若年人口比率は18.7%、適齢期人口比率は21.7%であり、若年人口比率は全国レベルを上回る結果となったが、適齢期人口比率は全国レベルを下回った。県南部主要都市の若年人口比率を見ると、棚倉町の若年人口比率が20.2%と最も高く、次いで白河市が19.5%、矢吹町が18.7%となり全国レベルを上回っている。比較的若いマーケットが多いエリアと言えるだろう。
一方、適齢期人口比率は白河市が23.2%で県南部主要都市の中では最も高いものの、全国レベルは下回っている。福島県全体として全国レベルを下回っており、特に南部地域は関東圏に適齢期人口が流出していると考えられる。また、いわき市の高齢者比率(65 歳以上人口比率)は25.1%となっている。県南部主要都市では白河市以外は全国レベルの23.0%以上となっているが、30%を超えるような大幅に高齢化が進展している都市は見られない。
福島県の都市の将来推計人口は推計されていないため、改めて主要都市の震災後の人口トレンドを図表3 にまとめた。震災直後の2012 年~ 2013 年にかけて主要都市では人口減少が顕著であったが、2014 年以降は福島市、郡山市など、対前年比で若干人口増加となって下げ止まった都市がでてきている。いわき市も産業振興が進展しており最新データでは人口増加が確認され、今後の人口規模拡大が期待できる。
※「県南部主要都市の人口マーケットトレンド」「県南部主要都市の年齢構成」「県内人口10万人以上都市の人口マーケットトレンド」「都市勢圏」「拠点性と流入傾向」「県南部主要都市の婚姻マーケットトレンド」「県内主要都市の観光入込客数推移」「県内観光地点入込客数上位10地点」「県内イベント動員数上位10イベント」「福島県の外国人宿泊客推移」、など詳細なデータにつきましては本誌ご購入、または電子版有料版にご登録いただけますよう、お願い申し上げます。
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観光・ブライダルマーケットエリアデータファイル 《いわき市編》
【月刊HOTERES 2017年01月号】
2017年01月13日(金)