自身の好みやスタイルを押し付けるのではない!
確かな技術・知識の土台を広げていくこと
2015 年、ストックホルムで開催されるノーベル賞授賞式の公式行事に選ばれたのが、神戸市東灘区御影に蔵を持つ㈱神戸酒心館の「福寿 純米吟醸」だ。以来、洗練されたブルーボトルのお洒落さも加わり、国内外から脚光を浴びている。ソムリエとしての経験を生かし国酒・日本酒のすばらしさを独特な話術で熱弁しているのが東明蔵 湊本雅和支配人だ。今回は日本酒の魅力とともに次世代の育成、日本酒の浸透に向けて必要なことなどをお聞きした。
福永 純米吟醸 福寿はとても人気で最近ではなかなか手に入りにくくなりました。日本酒そのものが日本の伝統的なお酒として注目されています。最近は女性も日本酒をたしなむ方が増えてきました。今後、2020 年の東京五輪開催に向け日本への注目度が高まる中、ますます需要が増えることでしょう。ところでそもそもワイン業界から日本酒業界に移られた経緯を教えてください。
湊本 私はもともと調理師を目指していたのですが、当時はなかなか調理師として勤務することが難しかったため、レストランのサービスマンとして働き始めました。その直後、サービスを勤める中でワインの奥深さに魅せられ、ソムリエになることを夢見るようになったのです。その後資格を取得しソムリエとして働く中で、さまざまな方々から大変多くのことを教えていただきました。ソムリエを養成する2 年制各種学校で講師としての経験も重ねることができました。私がソムリエを志したころ、現在ほどワインは一般的ではなく、高級フレンチレストランが主たる提供場所でした。関係各所の活動によりワイン市場は着実に成長し、田崎真也さんが1995 年のソムリエ世界大会で世界一を獲得したことが起爆剤となり、一層広く注目されることになりました。