㈱琵琶湖ホテル 常務執行役員総支配人 荒木 昌志 氏
ホテル業界の課題は、「恒常的な人材不足」にあります。
あらゆる産業で労働力が不足しているご時勢では、日本において必ずしも人気職種とは言えないホテル業に、人が集まりにくいのが現状です。
国内におけるホテル産業が十分に発展しない理由の一つが、人を育成する仕組みができていないことです。新入社員を採用しても、彼らが優秀であればあるほど、部門長が自部門から手放さなくなり、ゼネラリストではなくスペシャリストばかりが量産される構図になりがちです。ゼネラルの名前を冠する総支配人でさえ、経験した部門が偏っていることがほとんどではないでしょうか。
レベニューマネジメントや管理会計など、心構えと勉強次第で誰でもスキルアップできる業務が、ホテルの世界では特殊技能のように扱われていることが残念です。
聖域をなくし、いろいろな業務を経験させることによって、本人も気付いていない能力が開発されるかも知れません。調理も例外ではないと思います。
弊社では、今後ますます教育、訓練の機会を充実させ、スタッフが40 歳になるまでには、国内外のどのホテルでも通用し活躍できる人材に育てたいと考えています。
そのためには、従業員が数十年先の自分の“ あるべき姿”をポジティブにイメージできる“ 明るい組織づくり” “ 教育に対する十分な投資” “人材育成部門の強化” が不可欠です。
国の成長産業として期待される観光業の要のホテル業が、「憧れの仕事」となれるかどうかは、この数年間のわれわれの「本気度」次第であると確信しています。
(株)琵琶湖ホテル
http://www.biwakohotel.co.jp/