レベニューでもファイナンスでもない! ホテルの原点、生命線は “お客さまによろこばれること” にあり
海に浮かぶようにたたずむ波をイメージした白亜の外観がリゾート性をかもしだしている「神戸メリケンパークオリエンタルホテル」。阪神・淡路大震災の半年後にオープン、厳しいスタートと競争激化の神戸エリアで宿泊、宴会、レストラン、ウエディングともに業績を上げている。そこにはスタッフのやる気をどう引き出していくのかを常に追求している荒木潤一総支配人ならではの手法があった。そこで今回はかがやく人材育成についてお聞きした。
福永 荒木総支配人は昨年1 月より「オリエンタルホテル広島」と兼務で就任され、昨年9月、神戸専任となられましたが、広島から神戸に異動されて感じられたことはどのようなことでしょうか。
荒木 ホテルスタッフはホテルマンとして必要なあいさつや言葉づかいなど、基本的な部分はしっかりと教育されていましたが、何かが足りないと感じました。当ホテルに限ったことではありませんが、ホテル業界の典型的なセクショナリズムが強く、宿泊、FB やウエディングなど、各部門間の連携がうまくとれていないと感じました。それは社員の結婚式に加え、従業員からの紹介件数が少ないことからもうかがえました。ホテルはお客さまを喜ばせることがもっとも大切な仕事です。そのためにはお客さまが求めていることを常に追求することが必要で、これはお客さまだけに限らず社内の社員間、上司と部下の関係でも大切なことなのです。
福永 セクショナリズム化された組織構造は、ともすると職場環境改善においてネックとなる場合もあると思います。部門間で競い合って部門利益を向上させることはもちろん必要なことですが、場合によっては部門間での情報共有が不十分であったり、横の連携がとれなかったりしたために、ホテル全体のチームワークが発揮されずにお客さまに高品質のトータルサービスが提供されず、結果としてホテル全体の評価が損なわれることになりかねません。
荒木 需要予測を基に販売を制限することで収益の拡大を目指すレベニューマネジメントや、資産運用・形成についての総合的なプランを設計、提案するファイナンシャル・プランナーを重視したホテル運営が昨今では多く行なわれていますが、ホテルの本質はパーティーや宿泊、ご飲食など、さまざまな目的や思いで足を運んでいただいているお客さまの気持ちをとらえて、よりよい商品とよりよいサービスを提供しつづけることにあり、その結果が収益として現れてくるものではないかと考えます。そういった視点からすると、スタッフのモチベーションUP は、常に最重要課題といえるのではないでしょうか。