去る11 月5 日に国民生活センターが消費者向けに行なった「結婚式をめぐるトラブルが増加している」「結婚式契約は慎重に」との注意喚起は、テレビや新聞などのマスメディアをはじめインターネット上でも広く取り上げられ、大きな話題となりました。
「なぜこの時期にブライダル業界だけを狙い打つような注意喚起を?」という疑問や憤りを覚えた関係者の方も少なくなかったと思いますが、国民生活センターがWEB 上で公開している報道発表資料に目を通すと、本コラム第2回でも触れた、キャンセル料の「水準」をめぐる裁判の結果が大きく影響していることが読み取れます。
国民生活センターによると、寄せられる結婚式をめぐる苦情の約9 割は「契約・解約」をめぐるものだそうですが、従前の「契約・解約」に関する争点は、結婚式契約において一般的に設定されるキャンセル料の「水準」が、消費者契約法第9 条第1 号の「平均的な損害」を超える不当に高額に設定されたものであるかどうかという点に集中していました。しかし、ある消費者団体が業界大手2 社に対して提起していた訴訟において、今年になって最高裁が「事業者勝利」の判断をくだしたことで、キャンセル料の「水準」をめぐる論争は、ホテルや結婚式場等の「ハコモノ」ビジネスにおいてはほぼ決着がつきました。
第4回
今さら知らないとは言えない「ブライダルと法律」講座
第4 回 国民生活センターの「注意喚起」を読み解く
【月刊HOTERES 2015年12月号】
2015年12月18日(金)