今回は宮城県の県庁所在地、仙台市を取り上げる。同市は人口 100万人規模の政令指定都市であり、県内の行政、文化、経済の中心を担っているだけでなく、伊達政宗の時代から東北の中心都市として発展してきた。「杜の都」として落ち着いた佇まいがある。以下に仙台市のマーケットと宮城県の観光マーケットをみていこう。
文殊リサーチワークス
1.マーケットポテンシャル
仙台市は人口 106万 7,486人(2023年 1月 1日現在)を有し、宮城県全体の 47.3%と高いシェアを占めている。その他の県内主要都市(市部)を見ると、石巻市が 13万 6822人、大崎市が12万 5444人で続いているが、仙台市との格差は大きい。仙台市は東北地方において最も大きい人口を有している。(図表1)
過去5 年間の増加率(23 年/ 18 年)を見ると、仙台市は 0.7%の微増となっている。その他の県内主要都市を見ると、名取市が1.5%で仙台市と同じく微増であること以外は全てマイナストレンドとなっているが、その中で仙台市に隣接している多賀城市、富谷市は比較的減少幅が小さい。 仙台市の年齢構造を見ると、若年人口比率は 17.2%、適齢期人口比率は 24.3%で、若年人口比率、適齢期人口比率ともに全国値(16.7%、20.9%)を上回っている。その他の県内主要都市を見ると、若年人口比率は富谷市が 22.9%で最も高く、次いで名取市が 20.7%、岩沼市が 18.7%、多賀城市が 18.5%と比較的高くなっている。適齢期人口比率は多賀城市が23.0%、名取市が 21.9%、岩沼市が 21.1%と比較的高くなっている。仙台市のベッドタウンになっているこれらの都市のマーケットが活性化していることがわかる。(図表2)
高齢者比率を見ると、仙台市は24.3%であり、全国値(28.7%)を下回っている。その他県内主要都市を見ると富谷市が 21.7%、名取市が 23.0%、多賀城市が 25.2%で全国値を下回っている。他の主要都市は 30%台が多く、高齢化が進展しているが、東北地方の中では比較的緩やかな状況と言える。
将来推計人口をみると仙台市は 2020年ごろまでは横ばいで、2025年以降から減少フェーズに突入すると推計されている。2045年ごろには 2015年ベースから 15%程度減少する。その他の県内主要都市を見ると、富谷市、名取市の 2市はおおむね 2015年ベース以上を維持し、特に富谷市は 2035年ごろまで人口増加する。それ以外の都市はすでに減少フェーズに突入しており、将来的に 2015年ベースの 20~50%程度減少すると予測される。(図表3)
仙台市とその他県内主要都市では人口規模に大きな格差があり、今後も仙台市の一極集中の形は変わらないだろう。しかし、それ以外の都市では将来的な変動が予想される。大崎市は石巻市を抜いて第 2位となり、富谷市が 5位に上昇する。
----
※各種図表など詳細なデータにつきましては本誌ご購入いただけますよう、お願い申し上げます。
2024年9月号ご注文フォームはこちら
------
2024年9月号 観光・ブライダルマーケットエリアデータファイル 《仙台市編》
観光・ブライダルマーケットエリアデータファイル 《仙台市編》
【月刊HOTERES 2024年09月号】
2024年09月13日(金)