東京都ならびに公益財団法人東京観光財団は今年度より、都内で展開する中小企業の観光事業者を対象に人材確保や人材定着の取り組みへの補助金制度をスタートした。
資本金5000万円以下または従業員200人以下の企業(宿泊業)が対象であり、申請期限は2025年3月31日まで、補助率は補助対象経費の3分の2以内、1事業者あたり300万円(コンサルティングに係る経費は100万円まで)が限度額となる。
今年度より新たに始まった同制度は、登記簿登録で本社もしくは支店を都内に構えている際に活用することができ、「人材の確保に関する事業」「人材の定着・育成に関する事業」が補助対象となる。
前者の事業は採用における求人広告や求人イベントへの出展をはじめ、HPの採用欄でのイメージ動画制作、採用パンフレット作成なども対象となる。後者は接客やベッドメインキングなど各種業務のマニュアル作成、ホスピタリティ研修などのリテンション施策でも活用可能だ。なお、補助事業の実施期間は交付決定後から最大1年間である。
東京観光財団 観光産業振興部観光インフラ整備課の松原 真樹子氏は「コロナ禍での業界離職、過去最高を超えるインバウンド需要などで人手不足にお悩みの観光事業者様へ向けた本補助金は、人材の確保から定着・育成にいたるまで多数の事業を補助対象としております。ぜひ本補助金をご活用ください」と述べる。
また、東京都ならびに同財団は今年度も都内ホテル向けに「宿泊施設バリアフリー化支援補助金」を手掛けており、バリアフリー化における客室改修で最大補助率10分の9、補助限度額最高9600万円と厚く支援しており、新築でも活用可能となっている。
同制度では通常、申請から交付決定まで2~3カ月の期間を要するが、バリアフリー化における「備品購入(車椅子、電動リクライニングベッド等)」(最大補助率5分の4、補助限度額最高320万円)の際は1カ月ほどで交付決定へと至り、2025年に都内開催のデフリンピックに向けた各種備品(コミュニケーションディスプレイ、ドアノックセンサー等)の準備にも活用することができる。なお、同補助金は大企業も対象である。
●原典
「観光事業者による旅行者受入対応力強化支援事業補助金」
https://www.tcvb.or.jp/jp/project/infra/jinzai/
「宿泊施設バリアフリー化支援補助金」
https://www.tcvb.or.jp/jp/project/infra/yado-barrier-free/
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文・オータパブリケイションズ 臼井 usui@ohtapub.co.jp