- 「ラグジュアリー・バイブル」
発行人 - 中山清美 プロフィール
初回の原稿がアップされてすぐ、大手出版社の部長をしている友人からメッセージが届きました。曰く「ダメだなあ。ダニエルはGMの接待がなければ、並以下だと俺は思う。ラウンジも部屋もシャビーだ。従業員のサービスは並以下。もっとちゃんとした例を出して欲しいもんだなあ」。さすが、人気雑誌の編集長も務めたオトコ、鋭い指摘でありました。
確かにダニエルは、部屋はさほど広くはないし、スタッフの対応はごく普通です。しかし、GMのマダムの目が届かないほどの箱ではないのです。ムーリスやブリストルと比較すれば、さすがに設備やデコレーションは見劣りするでしょう。ブティークホテルならMarais HotelとかL'hotelを好む人もいるかもしれません。しかし、クリヨンみたいなところにいたからこそ実現できなかったことを自らの力で思い通りのサービスに変えて提供してみたい、きっとマダムはそう思ったに違いありません。
ダニエルでパラスホテルのホスピタリティを望んではいけません。そこは、パリにいることがごく普通のことと思える、自宅のアパルトマンに戻るが如き安心感を期待するのみ。そんな心の問題なんですよ、と件の部長氏に伝えると「ま、それならわからんこともないな」と納得していただきました。誰しもが100%満足するホテルがないのも事実なわけで、となると心の安寧が一番の判断基準ということになりましょうか。
さて、”群れない贅沢”を標榜するこの連載の第2回の舞台はモーリシャスにしました。群れないヴァカンスを愉しむにはもってこいのデスティネーションですね。香港から約9時間45分。アフリカの東側、インド洋に浮かぶ沖縄本当より少し大きい島で、この島を訪れる日本人は年間およそ2千人といいますから、孤高の旅を満喫するには最適です。
モーリシャスは何世紀にもわたりヨーロッパの王室や貴族に愛され、“インド洋の貴婦人”と称賛されてきた高級リゾート。観光客の大半はヨーロッパからで、著名人も多く訪れ人知れずプライベートバカンスを過ごしています。
低層のゴージャスなホテルにフレンドリーで気配りの効いたスタッフ――セレブでなくとも、ゆったりと静かにヴァカンスを過ごしたい方にはぴったりですね。