鈴木商会は、「指宿温泉 こらんの湯 錦江楼」を2024年3月25日にリニューアルオープンした。今回のリノベーションでは、本館3階部分の10室が対象で、インバウンドの獲得も見据えて、和洋室化や2室(各6畳)を1室に拡張したスイートルーム仕様を新設した。リニューアル後は、和洋室8畳5室、和室6畳3室および、6畳2室を1室にした和洋室1室(71.45㎡)の計9室となり、総客室数は32室になった。また、シモンズ社のベッドを設置したほか、8畳の客室にはシャワーブース、拡張した和洋室には半露天風呂を設けている。
同施設は、旧・かんぽの宿から現施設となり16年目。かつての温泉ホテルと言えば、大浴場のみで客室に浴室がないものも多かったが、2019年10月には半露天風呂の坪庭付きの和室やシャワーブース付き和室(計10室)の改装に着手するなど、客室内の浴室ニーズに応えてきた。さらに今回のリノベーションでは、ファミリーや三世代、友人グループ、カップル、そしてインバウンドなど幅広い層へアプローチすること、また高まる高付加価値化に応えるかたちでさらなるアップグレードに臨んだ。
コンセプトは「地域素材を活用したストーリー性豊かな空間」。ローカルの温泉ホテルとして、地域の伝統・文化の発信を担う地域貢献とともに、新たな価値の創造にもつなげていく。支配人の小野澤 淳氏は「採用した天然素材などは経年変化で味わいが増し、独特の雰囲気をまとった空間を作り出します。リノベーションを機に客層の拡大はもちろん、施設としてのバリュー向上も目指している」。工事期間は約5カ月、投資額は1.6億円。リノベーション後の初年度目標としてRevPARは昨年度平均比120%超、ADRは同150%超を目指している。
指宿の宿泊施設では唯一のにごり湯 美肌成分とされる豊富なメタケイ酸の温泉
支配人の小野澤 淳氏は「指宿温泉 こらんの湯 錦江楼」で長らく副支配人として活躍。この地の魅力と課題に向き合っていきたいと話す。昨年より現職
小野澤支配人によると、指宿は、温泉・観光地としての知名度はあるものの、課題が山積しているという。「車移動が中心の国内需要だけのころとは異なり、インバウンドをさらに獲得するには、公共交通機関との連携や周辺の観光スポットへのアクセスなど改善の余地を感じます。当施設としては、PR動画やSNSなどを強化し、国内外のWeb予約を増やしていきたいと思います。指宿界隈の温泉は海底源泉の特徴ともいえるアルカリ性ナトリウム・塩化物泉で無色透明が定番ですが、当施設は山側の源泉から引いており、天然の美肌成分ともいわれるメタケイ酸が通常の約6倍含まれている温泉をかけ流し(大浴場・露天風呂・一部半露天風呂)で使用しています。西日本でトップレベルとされる温泉、錦江湾に面した全客室、館内での「知覧茶」のフリーサービス、そして朝夕ご提供する自慢の料理も含め、これら一つ一つのクオリティーを引き上げていくことで、私たちが目指している〝世界に通用するオンリーワン温泉リゾートホテル〟になると考えています。
また、予約のWeb化を促進することは、旅前・旅中(滞在中)・旅後といったタッチポイントでのヒューマンウエアがより重要になってきます。お客さまにより一層お喜びいただけるよう、何を、いつ、どのようにすべきかをマニュアルを越えた観察力のその先に共感力が養われると考えています。さらに他社の良いところを参考にしたり、スタッフ同士の勉強会を開いたりと常に学習をし、一丸となって精進していきます。今回のリノベーションでは、しつらえのほか、厳選した地元の商品を集めた新しい売店も自慢の一つになりました。指宿温泉 こらんの湯 錦江楼でしか味わえないストーリーをしっかりと紡いでいくことでブランディングにつなげていきたいと思います」。
■指宿温泉 こらんの湯 錦江楼
https://kinkouroh.co.jp/
所在地:〒891-0311 鹿児島県指宿市西方4507
付帯施設:客室全32室、お食事処「知林」、中広間「開聞」、大広間「錦江」、ラウンジ(夜:焼酎バー)、展望大浴場、露天風呂、貸切風呂(日帰り入浴可)、駐車場(敷地内50台分・無料)ほか
アクセス:JR指宿枕崎線「宮ケ浜」駅から徒歩10分もしくは「指宿」駅からタクシーで15分