HOTERESの月刊化、そしてこの２月に創業70周年を迎える小社に対し、海外のトップホテル企業はじめ世界で活躍する諸氏からさまざまなメッセージが寄せられている。本編では２カ月間にわたり海外から寄せられたメッセージを紹介する。

卓越したサービス、革新性、創造性を強みに新たな成長のステージへ
 
　ジュメイラは1999年、ドバイにてブルジュ アル アラブを開業し、ラグジュアリーホピタリティーの概念に大きな影響を与えました。それ以降、ジュメイラは常に限界に挑戦し、ジュメイラにしかない特別な価値を作り上げてきました。豊かなホスピタリティの伝統の上に築かれた当グループのホテルは、単なる宿泊施設ではなく、人と文化を結びつけ、目の肥えた旅行者のための特別な体験を創造しています。

　ジュメイラは、ホテル運営、ゲストサービス、ダイニング体験、サステナビリティの実践、ホスピタリティーの提供における革新への挑戦などにおいて常により高い卓越した基準を設定し、並々ならぬ桁外れのゲスト体験を提供することに一貫して取り組み、観光産業への多大な貢献をしてきました。

　現在ジュメイラは中東、欧州、アジアの11カ国に26の高級ホテルを有する国際的なポートフォリオとなり、卓越したサービス、革新性、創造性への揺るぎない情熱を持ちながらさらなる成長のステージを迎えようとしています。
 
 
有形・無形双方への投資が成長を後押し
 
　2023年はブランドの定義と進化、成長戦略に重点を置き、ジュメイラは事業・規模ともに着実な成長を遂げることができました。
　具体的にはブランドの定義と進化の領域においては既存ホテルへの戦略的な再投資を行なうと同時に商品とゲストの体験を向上させるための継続的な取り組みに注力をしました。

　また、成長戦略の点ではジュネーブの「ル リシュモン ホテル」の買収や、グループ初となるサウジアラビアでの「ジュメイラ マッカ」の開業など市場シェアを獲得するための新規デスティネーション含む積極的な出店によって国際的なポートフォリオを拡充させるための取り組みを行ないました。これは私たちジュメイラの継続的な成長へのコミットメントを示すものでもあります。

　私たちはブランドにおけるウルトララグジュアリーのポジショニングを補完するために、有形資産と無形資産双方に投資をし、強化・進化させることで、ブランドエクイティを高めています。これは2030年に向けたジュメイラの中長期成長戦略の中核をなすもので、必要な資本と株主の支援によって支えられています。ブランドと事業の最適化に適切に投資をし、成長戦略を加速させることで私たちのグループは潜在能力を最大限に発揮し、ジュメイラを地域のサクセスストーリーから世界的に認知されるブランドへと成長させます。
 
 
成長と同時に責任あるビジネスへの実践にも取り組む
 
　事業としての成長の一方で、ジュメイラでは責任あるビジネスの実践に取り組んでいます。組織全体でサステナビリティ関連の主要業績評価指標（KPI）を導入しており、食品廃棄物、プラスチック、排出物を削減するための新しい持続可能な活動を開始し、事業の全領域からの関与を促進しています。私たちは2023年3月以来、サステナブル・マーケット・イニシアチブのホスピタリティ・ツーリズム・タスクフォースに積極的に参加しており、ジュメイラではホスピタリティ・グループとして初めて、海、陸、そしてそれらに関連する生物多様性を保護するための「EMIRATES WWF UAE Alliance For Climate Action」に参加しました。これは、2004年から活動している当社の保護プロジェクト「ドバイ・タートル・リハビリテーション・プロジェクト」の活動と完全に一致しています。ジュメイラもまた、サステナブル・ホスピタリティ・アライアンスに積極的に加盟し、貢献しています。

　こうした事業的な取り組みとサスティナビリティへの取り組みが内外から評価され、ジュメイラ グループはすべてのホテルとリゾートにおいて「Great Place to Work 2023-2024」のグローバル認定を受けました。これは前向きな職場文化を育み、スタッフに投資するという当グループのコミットメントをまさに示すものです。チームが生き生きと働ける環境を作り、事業、サスティナビリティ、スタッフの成長それぞれの成功に貢献し、グローバル市場で選ばれるための私たちの取り組みを反映しているものです。

 
拡大するラグジュアリーマーケット、変化する旅行ニーズに対応
 
　2024年の世界経済の成長率は鈍化する見込みであると予想されていますが、ラグジュアリーおよびウェルネスセクターの成長は継続すると見られジュメイラは2024 年も継続的な成長を見込んでいます。

　ラグジュアリーマーケットは2022年の4億人から2030年には5億人に増加すると予想されていますが、特に注目すべきはZ世代とミレニアル世代です。2030年には彼らがラグジュアリー消費の80％を占めると予測される中、私たちはこのダイナミックな消費者層の進化する嗜好と期待に応えるべく、戦略的にサービスを研究・調整しこの拡大する市場に対応するための態勢を整えています。

　また。旅行ニーズ自体の進化・変化への対応も欠かせません。贅沢品の旅行から個人の成長、ウェルビーイングへの興味の移行。多世代旅行、そして、デジタルやAIを活用したハイパー・パーソナライゼーション。私たちにはさまざまな努力が求められています。
 
 
「ミッション2030」に向けた４つの柱
 
　私たちのビジョンは明確です。2030年までにジュメイラを地域のサクセスストーリーとしての現在の地位から、世界的に認知されたブランドへと押し上げることです。ジュメイラのウルトララグジュアリーとしての揺るぎないポジションを確立するために、360度ゲスト中心の視点を取り入れ、ブランドを変革していきます。これを実現するために、私たちは4つの柱として「①オペレーショナル・エクセレンス、「②ブランド/商品開発」、「③国際展開」、「④価値提案を進化させるための付帯事業」に注力していきます。当社のグローバルポートフォリオは、今後7年間で倍増する予定であり、ヨーロッパの最も魅力的な目的地やゲートウェイ都市、米国の主要市場、アジアをターゲットとしています。

　競争が激しく急速に進化するラグジュアリーホスピタリティ業界において、ジュメイラが目指すのは、現状を超越し、世界的に認知され、ステークホルダーに長期的に持続可能な価値を提供する際立ったグローバルブランドとして台頭することです。そのためには私たちは業界の変化に対応するだけでなく、グローバル・ラグジュアリー・ホスピタリティの新たなパラダイムを定義し、業界をリードしていきたいと考えています。
 


Profile
ホスピタリティー業界に特化した世界的コンサルティングファームHVSでのキャリアを皮切りに、スターウッド ホテルズ＆リゾーツでは中東やヨーロッパなどの開発の要職を歴任。その後ローズウッド ホテル グループのアジア太平洋地域及び中国の開発担当ヴァイス・プレジデント、ラディソン ホテル グループのアジア太平洋地域担当プレジデントを経て2022年12月より現職。