HOTERESの月刊化、そしてこの2月に創業70周年を迎える小社に対し、海外のトップホテル企業はじめ世界で活躍する諸氏からさまざまなメッセージが寄せられている。本編では2カ月間にわたり海外から寄せられたメッセージを紹介する。
100周年という大きな節目
1923年に開業し101年目を迎えるラ・マムーニアから、70年目を迎えるオータパブリケイションズにお祝いを申し上げます。長きにわたり日本のホスピタリティー業界への貢献に敬意を表します。
私たちラ・マムーニアはモロッコ・マラケシュに1923年に開業して以来、世界中のセレブリティなどさまざまなお客さまを迎えてきました。ウィンストン・チャーチルが「世界で最も愛すべき場所」と評してくださったのも数ある歴史の中の1ページです。
ラ・マムーニアの特徴は卓越したサービスやラグジュアリーな施設だけではありません。長い歴史の中、さまざまなお客さまを魅了してきた庭園の美しさ、街中にありながら一歩足を踏み入れると静寂で優美な気品ある空間というユニークなロケーション、そしてモロッコで他に類を見ない多様な美食など、おとぎ話にふさわしい魔法のような体験をすることができます。ラ・マムーニアは過去と現在のバランスの取れた融合、現代と伝統の調和、時を超えた旅へと誘う100年の物語を表現しています。
2023年は私の記憶とラ・マムーニアの歴史に刻まれる特別な年でした。改修工事の第2段階が行なわれ、グランド・レディの100周年(注:ラ・マムーニアの別名は「マラケシュの貴婦人」)を実に華麗な祝祭で祝うことができたからです。
ビジネスとしても非常に良い年となりましたが、私たちが最も注力したのは改装プロジェクトと100周年記念式典であり、その成果は間違いなく今後何年にもわたって残り続けるでしょう。
変わらずラグジュアリーホテルのリーダーであり続ける
2024年以降は100周年の改装の効果、そして旅行市場のさらなる賑わいもあってビジネスは好調が続くと見ています。これまで継続してマーケットへのコミュニケーションとマーケティングに力を入れてきた成果が確実に表れています。
100周年に向けて注いできたさまざまな努力によってお客さまの満足度に関するスコアも劇的に向上していますが、さらに施設とサービスの質を完璧に調和させるため、スタッフのトレーニングへの投資も引き続き行なっていきます。
世界各地への出張を通じて、ホスピタリティー、ラグジュアリーの世界の急速に進化を肌身をもって感じています。私は行く先々でその変化を観察し、そこからインスピレーションを得ています。
また、お客さまの行動様式や嗜好の変化も感じています。そして、そこからも多くのヒントを得ています。実際、常に変化をし続けるお客さまの嗜好や習慣の変化こそがこのホスピタリティーの世界の進化の原動力なのです。逆に、それはこの長い歴史の中で変化をしていないことかもしれません。
ラ・マムーニアはこれまでもそうであったように、ラグジュアリーホテルのリーダーであり続けることを目指します。ラ・マムーニアでは、私たちの核となる価値観とアイデンティティを守りながら、同時にテクノロジーの進歩を受け入れながら、優雅に適応し、進化し、近代化していきます。一日中いつでもお客さまのニーズに応えられるような新しい空間を作り出し、サービスを充実させ、お客さまの体験を刷新し続けます。
なぜラ・マムーニアが100年の歴史を超えてラグジュアリーホテルのリーダーであり続けてくることができたのか? それは時代を超越した魅力と革新のバランスを取りながら常に前進してきたからです。私たちはこの精神を大切に、永続的な成功と時を超えた遺産を守り続けるのです。
Profile
ホテリエとしてのキャリアはロンドンのパークハイアットの料飲部長から。その後バンコクのザ・リージェント、アイランド・シャングリ・ラ 香港、モーリシャスのワン・アンド・オンリー リゾーツー、ザ・ペニンシュラ北京、ザ・オベロイ ニューデリー、フォーシーズンズホテルニューヨーク、ザ・インペリアル ニューデリーで総支配人など要職を歴任。2008年ラッフルズ シンガポールの総支配人 兼 ラッフルズ・ホテルズ&リゾーツのリージョナル運営副社長を経て13年9月より現職。