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伝統と革新:2024年から始まる新プロモーション「Re BORDEAUX」とは?

2023年12月09日(土)
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ボルドーワイン委員会 CIVB Japon(ボルドーワイン委員会東京事務所)は、2023年12月6日(水)、2024年から始まる新プロモーション「Re BORDEAUX(リ・ボルドー)」を発表した。高級や伝統というイメージが持たれがちな産地であるボルドーの多様な面に光を当てるプロモーションだ。
 
2021年8月から2022年7月末までのボルドーワイン販売数量は398万リットル(本数換算で5億3,100本、売上高換算で40億ユーロ相当)、直近12カ月(2022年10月~2023年9月末まで)の日本への輸出量は158万5千ケース(本数換算で1902万本)であり、数量では第4位の輸出国となっている。
 
ボルドーワインは輸出販売が45%を占めるため、主要輸出国でのプロモーションが欠かせない。日本での消費拡大には、高級や伝統という重厚なイメージだけでなく若い生産者や希少なブドウ品種、新たな製法、サステナビリティなど多面的な側面を知ってもらい、ボルドーワインのイメージを刷新していく必要がある。
 
 
【Re BORDEAUX(リ・ボルドー)】
ボルドーワインの今を知るためにCIVB Japonが2024年よりスタートするのが「Re BORDEAUX(リ・ボルドー)」プロモーションだ。この「Re」には下記の3つのような意図が込められている。
 

造り手の思いが芽吹き(ReBORN)
人と自然が影響し合い(ReACT)
これまでにない価値を生む(ReVIVE)

 
ボルドーワインと言えば、1855年の格付けに代表される著名なワインを想起されがちであるが、実際のワイン産業を支えているのはAOP BordeauxやBordeaux Supérieurの生産者やワイン栽培家だ。原産地呼称制度の側面もあり、ボルドーという認知度が高い産地でありながら、こうしたワイン生産者よりも著名なシャトーがメディアにも取り上げられることが多い。
 
また、近年の気候変動に伴うリスクも大きな影響がある。持続可能な栽培、生産を続けるためにも、自然とどのように向き合い、付き合っていくのかを考えなくてはならない。特にボルドーという産地は、歴史的に見ても気候の影響がその年の品質やスタイルに大きな影響を与える産地であり、その影響は無視できない。現在の状況に合わせて、栽培、醸造においてどのようなことができるのかが模索されている。
 
消費の側面を見ても、消費者のトレンドも一様ではなく変化をしてきている。デモグラフィックだけでなく、サイコグラフィックでもライフスタイルや社会的な変化、SNSといったコミュニケーションの変化も生まれており、どのように消費者に伝え、知ってもらい、ファンになってもらうかというプロセスが重要になってくる。
 
こうした事情を鑑み、新プロモーション「Re BORDEAUX」では、ボルドーワインの新たな魅力を発掘し、年間を通じて消費者だけでなくトレードにもその魅力を伝えていく。具体的には、多様性に富んだボルドーワインのスタイルを知ってもらうための代表的な50SKUのセレクション「SELECTION 50 BORDEAUX 2024」の発表に加え、辻仁成氏をグランド・アンバサダーに、トレード向けには石田博氏をプロフェッショナル・アンバサダーに登用しその魅力を伝えていく。
 
2024年4月には、上記50本のほか日本未発表の計150本に渡るボルドーワインをトレード、一部消費者向けに紹介するイベントを開催。10月には都内の酒類小売店におけるボルドーワインフェアを開催、翌11月には都内参加レストランでのフェアも予定されている。また教育面においても、プロ、アマ向けのマスターセミナーといった機会が月に一回程度開催される。
 
今回の発表に際し、ボルドーワイン委員会(CIVB)会長のAllan Sichel氏をはじめ、Château Loupiac-GaudietのNicolas Sanfourche氏、Château La VerrièreのDolorès Bessette氏、Château DespagneのThibault Despagne氏が来日した。
 

Château DespagneのThibault Despagne氏
Château DespagneのThibault Despagne氏
Château La VerrièreのDolorès Bessette氏
Château La VerrièreのDolorès Bessette氏
Château Loupiac-GaudietのNicolas Sanfourche氏
Château Loupiac-GaudietのNicolas Sanfourche氏


来日に際し、Sichel氏へのインタビューの機会を頂いた。Sichel氏は1883年より続くMAISON SICHELの6代目を務めている。ボルドー生まれで、イギリスとフランスでビジネス経験を積んだ後に生家であるMAISON SICHELへ戻った。2022年7月よりCIVB会長を務めている。
 
▶2000年代、2010年代と振り返ってどのような変化がありましたでしょうか?

ボルドーワイン委員会(CIVB)会長のAllan Sichel氏
ボルドーワイン委員会(CIVB)会長のAllan Sichel氏

Sichel 大きな変化が起きているとは思いますが、2000年と2010年では比較するのに近すぎるように思います。ボルドーは面積的にも大きい産地であり、5,300の生産者がいますので、何か変化が起こるにも時間を要します。ゆっくりと大きく変化していく中で、消費パターンや気候変動、社会的に求められるもの、政治的な不安定などが世界的に見られていると思います。
 

まず、気候変動ですが、良い面としては気温が上がり、日照が増えることでブドウの成熟が良くなった点が挙げられます。例えば、60年代や70年代では10年の中で非常に良かったヴィンテージは2,3年ですが、今では良いヴィンテージが7年以下になることはなくなってきました。
 
その一方で、負の側面もあります。雹害であったり霜害であったり、水が過剰にある年もあれば、逆に干ばつや暑熱に悩まされる年もあります。こうしたことが1年の内に全て起こることもあり、非常に極端な気候が見られるようになっています。
 
ですので、この気候の二面性に対して、どのように対応しつつ活かしていくのかというチャレンジがあります。我々が気候にもたらす影響を少なくし、そして気候変動に対して柔軟性を持っていけるかが重要になります。
 
気候にもたらす影響を減らしていくという点では、現在ボルドーの75%の畑が環境認証を受けています。柔軟性やレジリエンスを高めるという点では、適切な在庫運用を行い、非常に収穫量が少ない年であっても影響が少ないように対応をしています。
 
気候以外の点では、消費パターンも変化しています。フランスにおいても、ボルドーワインが飲まれるシーンとしては、何世代にも渡る家族が一緒に食事をとる時や伝統的な料理と一緒に楽しむなどが主なものでした。今は食生活の変化もありより細分化されている状況で、ピザやハンバーガーといった食事とも楽しまれるようになっています。
 
伝統的に、ボルドーワインは格式高いフォーマルな場との関連が強かったと思いますが、我々はそうした場だけでなく、より若い方々がカジュアルな食事シーンでもボルドーを楽しんで頂けるような訴求を行っていきたいと思っています。
 
技術者、栽培家、醸造家にも若い人たちが増えており、従来とは異なるスタイルのワイン、自分たちの好みに合ったものや生き方に合わせたようなスタイルのワインを生産しています。2時間もかけて食事を行う伝統的な場ではなく、バーベキューといった外で楽しむこともあれば、食事と一緒でなくとも気軽に楽しめるものです。タンニンも穏やかで、より果実感があります。
 
 
▶そうした変化はまだ消費者に伝わっていないような気がしますが、いかがでしょうか?
 
Sichel ボルドーワインにとっては国内(フランス)が一番大きい市場で、生産量の55%は国内で消費され、45%が輸出されます。8つの市場において、ボルドーを選ばない理由について市場調査を行った結果、「高級で格式が高いイメージ」が共通してみられました。グランクリュのものについてはそのイメージは当てはまりますが、それは生産量の5%にしか当たりません。生産量の95%は、もっと日常的に楽しめるものですが、まだそれが浸透していませんので、その先入観を変えていきたいと考えています。
 
 
▶それで今回の新プロモーション「Re BORDEAUX」へと繋がるわけですね。どのような結果を期待されていますか?
 
Sichel まずはプロモーションを通じて、ボルドーワインをもっと身近に感じて頂きたいと思います。市場調査からも消費者との「距離」があることが示されていましたので、ボルドーと一口に言っても高級なものだけでなく、スパークリングワインもあれば、甘口の白もあり、高級なものだけではなく、多様性に富んでいるということを知って頂き、敷居の高さを取り払っていきたいと思います。
 
ボルドーは親しみやすく、刺激的でもあり、楽しめるワインであるということ、そして学びを通じて「発見」をして頂きたいと思います。様々な国のワインがありますが、ボルドーワインを選んで頂けるようなきっかけづくりをして行きたいと考えています。
 
 
2024年から始まる新プロモーション「Re BORDEAUX」。CIVBの日本語webサイト(仮版。本サイトはリニューアル中)では、2024年の代表的な50本である「SELECTION 50 BORDEAUX 2024」も掲載されている。詳しくは、下記を参照して頂きたい。
 
ボルドーワイン委員会 CIVB Japon
https://www.bordeaux-wines.jp/
 
担当:小川

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