5月23~25のVinexpo Asiaの開催に合わせてシンガポールへいきました。深夜に空港に到着し、思いのほか空調のせいもあり涼しい印象があったが、出口をでると何とも気怠い熱気に当てられました。ふと、中山可穂の文章を思い浮かべます。
国としてイベントを招致
Vinexpo Asiaは香港で行われていましたが、今回は初めてシンガポールで開催。FB関連では、The World’s 50 Best BarsやBCB(Bar Convent Berlin)もシンガポールで今年開催される予定があります。多様な料理だけでなく、バーを含む酒類を提供するお店も様々です。今回はそんな中でも、クラフトビールを中心に何軒か視察をしてきましたのでいくつかご紹介したいと思います。
LeVeL33
8 Marina Boulevard #33-01, Marina Bay Financial Centre Tower 1
Singapore 018981
このお店は、「世界で一番高い場所にあるマイクロブルワリー」というのがポイント。目の前に広がる眺望はSNS映えだけでなく、シンガポールのワインシーンとして印象的です。
Alchemy Bistro
3 Magazine Road #01-02, Singapore 059570
残念ながら再開発により移転となる。シンガポールのバーとしてクラフトビール販売の先駆け的な存在。
Smith Street Taps
335 Smith St Chinatown Complex Food Centre, #02-062
まさかこんなところにあるとは、と驚く。屋台のように突然現れるスタンドには、多くの海外観光客が訪れてました。
Ziggy Zaggy
51 Kampong Bugis, Singapore 338986
観光地ではありませんが、より現地のビール文化が分かる。当日はクラフトビール数社のコンペティションがあり大盛り上がりでした。
ATLAS
Ground floor, 600 North Bridge Rd, Parkview Square, Singapore 188778
The World’s 50 Best Barsにもランクインしており、ジンが豊富。メニューも大変面白く、FB関係者なら一度は足を運んでみたくなります。
このカラフルな部分の2階にSmith Street Tapsがある
個とコミュニティ
例えば、Smith Street Tapsのあるチャイナタウン・コンプレックスのように、住宅地の真横にある大きな食堂兼モールには活気だけでなく、「生活=食べるという生きる活動」がいきいきと目に映ります。
日本でもショッピングモールにフードコートがあるが、シンガポールでは様々な場所にそうした場所がありました。その場所は、食べる場という機能的な場だけではなく、コミュニティのための場でもありました。
日本に帰ってきて、改めてフードコートやチェーン店に行くと、コロナの影響もあり「個」というワードが思い浮かびます。日本の場合、核家族化や晩婚化も進み、より「個」の状況が際立っている気がします。
もう一つ印象的だったのが、新しい経験を求めていることです。シンガポールのクラフトビールのお話をお伺いする中で、そうした経験を求めているというのを強く感じました。
お酒のシーンで言えば、日本は本当に飲食店の数も多く、世界的にも有名な大手企業もあり進んでいる部分も多くあると感じます。その一方で、社会問題含め、日本ならではの成熟した市場の課題も同様に多くあり、それは今後他の市場の為にも参考になることだと感じます。
あまり本誌でも触れる機会がありませんが、例えば疲労社会を書いたビョンチョル・ハンや、加速する社会のハルトムート・ローザ、幻想の終わりにのアンドレアス・レクヴィッツなどドイツ圏の社会学や認知資本主義のような領域が案外カギなのではないかと感じています。
エスノグラフィーという調査方法がありますが、現地での調査もですが、帰ってからの整理の方がより鮮明に対比が浮かんだりするものです。コロナ禍も明けて、海外渡航をされる方も徐々に増えて来たかと思います。シンガポールは今年、酒類シーンでもアジアで注目の国です。機会をつくって赴くのも良いかも知れません。
他にも、Jigger and Ponyの江口氏へのインタビュー含め、現地の様子は週刊ホテルレストラン誌面でも今後ご紹介の予定です。
担当:小川