現地では日本酒の根強い需要を感じさせてくれる中、WSET: Explore the Beauty of Sakeと題したマスタークラスが、Beverage Clique AcademyのSean Ou氏によって行われた。
試飲で提供されたのは、神戸酒心館の発泡純米酒「あわ咲き」、中島醸造の小左衛門 大吟醸、上川大雪酒造の「十勝 純米吟醸」だ。
マスタークラスでは、日本酒の基本的な製法から試飲までが行われたが、興味深かったのが、日本人ならではの先入観に気づかされた点だ。ワインでも同じかも知れないが、日本酒をブラインドで試飲する際に「特定名称酒」による分類を行わないだろうか。つまり、吟醸香があるとか、そうした特徴的な香りで判断することが多いように思う。
今回のマスタークラスは基本的なことから始めたことも理由の一つかも知れないが、試飲コメントにはそうした吟醸香といった表現ではなく、よりワインの文脈で用いられるようなフルーツの表現がなされていた。また、味わいについても、殆どの日本人よりも甘さに対する感覚が鋭敏のように感じられた。
開始冒頭に「日本酒を知るのに日本語を知る必要はない」ことと、「(日本では)Sakeとは日本酒ではなく酒類一般を指す言葉」であることなどが触れられていた。我々日本人で特に酒類を取り扱う仕事に携わる方は、自身の感覚とのずれを把握する必要があるように感じた。
今回Vinexpo Asiaの参加で知り合った現地の方々から一番多かった質問は「どの日本酒がおススメ?」であった。現地シンガポールだけでなく、隣国のマレーシアから来ていた方にも聞かれた。日本酒に限らず、焼酎というワードもよく耳にした。
今年、シンガポールでは多くのFB関連のイベント開催が予定されている。現地で知り合った方の中には、5月末から1週間、北海道のクラフトビールを巡るという方もいた。日本の酒類への関心が高い今、説明だけでなく、感覚のすり合わせというのも重要なポイントではないだろうか。
担当:小川