シンガポールは国際色豊かな料理と飲料であふれている都市として名高い。そんなシンガポールを牽引するミクソロジストが一同に会し、スピリッツの未来についてトークセッションを行った。
セッションには、Manhattan BarよりRusty Cerven氏、Jigger & Pony GroupよりAki Eguchi (江口 明弘)氏、Nutmeg & CloveよりShelley Tan氏、No Sleep ClubよりJuan Yi Jun氏、LautよりLeon TAN氏が登壇した。
大きな話として3つのテーマが議題に挙がり、①アルコールフリー、②働き方を含めた平等性、そして③シンガポールのサービスについて、それぞれのパネリストが意見を交わした。
低アルコールやノンアルコールについては、別のセミナーでもトレンドとして挙がっており、近年、スピリッツの代替が増えたことにより、よりシリアスなモクテルを創れるようになったのもその背景にある。また、コロナ禍を経ての健康志向の強まり、今日は飲む日・飲まない日など、消費者側の変化も相俟って、以前よりも断然好まれる傾向があるとの話だった。スピリッツに比べて香りが弱くなるため、それを補うためのクリエイティブな仕事がより求められるとの意見もでた。
働き方に関しては、昔はタスク以外の事は行われなかったが、今ではマルチタスク化が進んでいるし、それにより働き手間での相互理解も深まるとの話や、メンターの重要性などにも話が及んだ。
シンガポールの飲食シーンで星付きが多くなっている状況についても、学ぶ姿勢といったメンタリティが変わってきたこと、業界のイメージも変わってきたこと、何よりパッションがあることなど勢いの裏側が分かるトークが繰り広げられた。
最後に、スピリッツの未来としては、近年のプレミアム化に加えて、質やパーソナルな体験、パフォーマンスなどトータルとしてのパッケージ化やタレント(個性)の活用といった話がでた。
こうした話はもちろん日本でも出ているが、違いを感じたのは、勢いや元気、楽しさといったことが聞き手にも伝わるような雰囲気があることのような気がした。ワインにしろ日本は成熟した市場としての課題があるように感じられる。伸びている市場から学べることは多いように思えたセッションであった。
担当:小川