GW、東京駅や新大阪駅などの賑わいがニュースになっています。様々な観光地が賑わっている様子が伝えれれています。風薫る5月、酒屋さんでふと見かけた日本酒で旅行した時の気持ちが蘇ります。
奈良県に葛城という地名があります。日本らしい観光地と言えば京都ですが、奈良も大仏をはじめ人気の観光地です。そんな奈良でも特に「景観」と「情景」という歴史に対する想像性を教えてくれた地が葛城です。4月中旬の吉野千本桜を眺めた後、葛城にある高鴨神社に行くのが好きでした。
鴨神という交差点近くに風の森のバス停があります。そこから高鴨神社に向かう途中に風の森の石碑があります。風の森とはよく言ったもので、本当に風が心地よく感じられる場所でもあります。神社でお参りしたあと、夕刻西の金剛山に夕日が重なる頃、山から少し冷えた風が吹きます。
ワイン産地でもよく山からの風が…という話がありますが、暖かな日差しと山からの風、この葛城という地が、農耕に適していたのではないかと感じさせてくれます。分かりやすい建築ではなく、その季節の温度感や風が肌をなぞる様子から、人々の生活に思いを馳せる。歴史には想像力も必要だと思わせてくれる土地でした。
風薫る5月。風の森を見つけて、葉桜から新緑の季節へと移り変わる奈良の旅路を思い出しました。
桜とGWというキーワードでは、個人的に伊根も欠かすことが出来ません。天橋立をご存じの方は多いと思いますが、京都北部にある伊根町をご存じの方はまだ多くないのではないでしょうか。舟屋と呼ばれる特徴的な建物は、日本らしいのにどこか遠く異国の地を思わせてくれるような感覚をもたらしてくれます。
そんな伊根には、古代米を使った日本酒があります。今回はにごりがあったのでそちらを購入。あずき色の色合いからなのか、生クリームのようなクリーミーさに、あんこのような甘さ、イチゴのような甘酸っぱさのあるお酒です。
季節と言えば、初夏にも近い暖かさがある日には、旬を感じさせてくれるようなお料理屋お酒も欠かせません。グレープフルーツなんて美味しい季節なので、そうした味わいのものも手にとりました。滋賀県でも三重にほど近い甲賀で造られているお酒ですが、近江八幡や豊郷に行った際に初めて知った酒蔵でした。
たまたま寄った酒屋さんで見つけた3本ですが、どのお酒もこの季節、旅の思い出が偲ばれるお酒です。(関西出身なので、この季節だと遠出ではなく近場となり関西のお酒ばかりになりましたが)
旅先で飲んだ(買った)あの1杯(1本)。それは顧客と時期や場所、想い出を紡ぐ貴重なものかも知れません。インバウンドで日本酒を本格的に品ぞろえされる方も増えてきました。何かの参考になれば幸いです。
左:風の森 露葉風 507(油長酒造, 奈良県)
中:伊根満開 にごり生酒(向井酒造, 京都府)
右:神開 SPARKLING なべかんむり 長女(藤本酒造, 滋賀県)
担当:小川