また、身近にロールモデルが少ない、ということも女性管理職増加への壁となっていると思います。新入社員の面接をした際、男子学生が「将来は GMを目指したい」と発言する一方、女子学生は「私は女性なので」とか「女性でもなれるのですか?」と答える。これは十数年前の私と同じ。つまりこのような意識は女性たちの中で依然として変わっていないということです。個人的には“女性”支配人とか“女性”社長のように、役職に女性の場合だけ性を冠することが早くなくなると良いと思います。そして、女性のリーダーたちが発信することで次世代に希望を与えられるのであれば、積極的な発信を行なっていきたいですね。
----ホテル業界のキャリアパスにもさまざまな道がありますが、高良さんはなぜ GMを目指したのですか。
“GM次第でホテルが変わる!”ということを実感したことがきっかけです。その方が GMに就任されてから、年齢・性別・キャリアに関係なく、正当な評価がされていると感じることができました。彼はホテル内をよく歩き、いろいろなスタッフと直接話し、生の情報を入手していましたが、私も今は同じことをしています。現場を訪れ、チームと接する中で、メンバーの悩みや変化に気づき、声をかけることで必要とするサポート、メンタリング、コーチングをタイムリーに行なうことができます。
実際には、マネージャーと共にサポートを行ないますが、マネージャーがより迅速にチームの変化に気づくことができるよう、マネージャーの育成にも注力しています。また、チームメンバーそれぞれの強みを見つけるサポートをするとともに課題についても伝えています。適切なフィードバックを行なうには、各人に興味を持ち、彼らを知ることが重要ですが、その当たり前のことを当たり前に行なうことを大切にしています。
性別はもちろん、異なる国籍・バックグラウンドを持つメンバーの多様な問題の解決には、躊躇なく発言・意見を言うことのできる環境づくりが大切です。したがって、私自身そしてマネジメントチームも、勘違いをしていないか?と常に問いかけるようにしています。総支配人や各部門長とラインスタッフとの距離がとても近いのがこのホテルの特徴です。
2023年4月14日号 トップインタビュー ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ総支配人 高良 真理氏
トップインタビュー ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ総支配人 高良 真理氏
【月刊HOTERES 2023年04月号】
2023年04月13日(木)