働く場の提供と社会貢献ができる事業へ昇華
----人材採用、育成について工夫していることがありますか。
原則、新卒採用はしていません。社会に出て何かしらの思いを持っている人のほうがよいと思っていますから。ほかのホテルから人を引き抜くことも一切しておりません。それは業界に対して不誠実だと考えるからです。
また、一般的な人事戦略では学歴、職歴、実績などで判断した優秀な人が選ばれるでしょう。しかし、当社はあとから変えられない学歴、性別、国籍、職歴、年齢の 5つでは差別も区別もしません。やる気があれば活躍できる場を提供するというのが経営の根幹です。ですからホテルで働いた経験のない人も多く応募してきます。そしてやる気のある人はどんどん実力をつけていきます。
仕事について、当社には「まだ早い」はなく、「もう遅い」しかありません。例えば入社一年目だからこの仕事は「まだ早い」ではなく、やってごらんというスタンスです。仲間の能力を未来進行形で捉え、いまの実力ではなく、未来に向けてどのように伸びていくかを見据えてチャンスを与えるという方針です。入社3年目で年商20億円のホテルのヘッドを担っている社員も生まれてきています。やる気のある仲間には、細分化された業務ではなく、まずは一店舗の経営全体を、さらにはチェーン経営を担って欲しいと思っています。つまり、経営者を育てる発想ですね。
----社員に対してのどのような評価制度を用いているのですか。
共に働く仲間の中には接客が苦手という人もいます。しかし、数字の取りまとめはピカイチということもあります。それぞれ強みが違うので、得意分野に光を当てられるよう業務を組んでいます。
人事評価には大枠の定義はありますが、仲間が評価する仕組みも取り入れています。当社のフィロソフィーである「仲間のために頑張れるか」「人間としてあるべき姿でいこう(道徳心に基づいて行動できるか)」を体現できる人材であれば、たとえ地味でも仲間が推薦状を出してくれます。逆にプレゼン上手で私心にまみれているようなタイプにはもう一度出直せと説いています。