2015 年6 月1 日より、「特別安全衛生計画策定の義務化」が制定された。俗に言う「ブラック企業」を厚生労働省が認定するとその企業は事業が継続できなくなるもの。と同時に、ブラックではない証しとして「優良企業」というお墨付きの認定を受けることで、企業としての差別化を図るとしている。500 法人2000 事業場以上の労務管理支援実績のある、一般社団法人クオリティ・オブ・ライフ創造支援研究所森田 司理事長が、ホテル、レストランといったサービス業を中心に、数々の事例を含めつつ、「優良企業を目指すことで経営改善につなげていく」考え方、手法などを伝えていく。
10 月、11 月はハラスメントと労働災害の関係に注目し、特に今月は「セクハラ問題」について解説いたします。皆様は厚生労働省の『精神障害の労災認定』というルールブックをご存じですか? そこにはメンタルヘルス不調を発症した際に、それが労災保険適用なのか傷病手当金適用なのかを〈業務による心理的負荷〉(仕事や職場環境を原因としたストレス)と〈業務以外の心理的負荷〉(私生活を原因としたストレス)の大きさを比較し〈業務による心理的負荷〉の割合が一定量を超えた場合には、労災保険適用=労働災害とするということが示されています。※資料参照
〈業務による心理的負荷〉のカテゴリーには『事故や災害の体験をした』『仕事の量・質』などがあり、『対人関係』(この中にパワハラの項目があります)や『セクシャルハラスメント』という項目が並んでいます。つまり、パワハラ・セクハラはメンタルヘルス不調の主な原因であり、労働災害の主な原因でもある、ということを厚労省は明確に示しているのです。にもかかわらず、パワハラ・セクハラ対策の教育訓練が『精神障害の労災認定』を教材に行なわれているという話を聞くことは多くありません。パワハラ・セクハラ対策では「おかしい、嫌だということをしっかりと意思表示をし、繰り返される場合には証拠を残す」「まずは、上司や社内の相談窓口に相談する」を指導するのですが〈どのような出来事があったら、重大な職場のパワハラ・セクハラなのか?〉を理解するルールブックの一つとして『精神障害の労災認定』をすべての従業員に理解させること=階層別のハラスメント労災リスクマネジメント研修の実施、が極めて重要だと私は考えています。