毎週、お酒に関わらず飲料を様々な視点で紹介したり考えてみるコラム「Drink of the Week」。
第1回は、デンマーク産のチェリーで造られたナチュラルワインFREDERIKSDAL KIRSEBÆRVINです。
FREDERIKSDAL VINTAGE 2019, 14%
【品種】Stevns cherry
【醸造】4~5日間、チェリーの果皮と核を一緒に発酵。その後、チェリーをプレスし、スチール製タンクで醗酵。無ろ過で瓶詰。
【輸入元】合同会社ニューヨークワイントレーダーズ
キルシュの謎が解けた!
とあるワイン会で知人が持ち寄ったもので、私自身も初めて飲みました。ワイン会では、ブルゴーニュなどの著名産地のワインが皆さん杯が進んでいましたが、個人的にはこのお酒がダントツに面白かったです。
飲んだ印象は、東欧旅行中にクリミア土産で頂いたペットボトルに入った甘口ワインに似た味わい。試飲した何人かは、イタリア?と答えていたように、ガリーグや甘草といった南イタリアの土着を想起させるような雰囲気があります。濃い果実味に、甘さを感じ、酸味がマスクされるため口当たりが柔らかく感じられます。
キルシュの独特の香りがなぜするのか、ずっと疑問に思っていたのですが、このお酒を飲んですごく納得がいきました。抜栓したてはさほど感じなかったのですが、時間が経つにつれて、しっかりと果皮というか、果実とは異なる独特のニュアンスが香ります。これが蒸留によりrectifyされて、あのキルシュの香りが出るのだと認識しました。
あまり普段飲まれる機会の少ないフルーツブランデーですが、寒い季節、露店で飲むパーリンカなどは格別です。世界中のトレンドとして、こうしたまだまだ知名度向上に余地のある酒類は、若手や異業種参入などにより活性化したり、中でもオーセンティックな出来のものは常に注目され、現場でも求められる傾向にあります。
これから出合った飲料の中で印象深いものや海外・国内のトレンドをコラムとしてご紹介していきたいと思います。
【今週のカバー】BYRE'S CLOSE, Edinburgh
エディンバラには、小道が多くあり、どこに繋げっているのだろうと、ワクワクさせてくれます。ちょっと京都に似た感じかも知れません。歴史的に様々な営みが行われていたことがわかる小道。昨今、なかなか寄り道をするという事が少なくなりましたが。たまには違った景色や新しい出会いに期待して、寄り道するのも大切かも知れません。
【参考文献】
Wondrich, D. and Rothbaum, N. ed, “The Oxford Companion to Spirits & Cocktails”, Oxford University Press, 2022
担当:小川