地域との関係性も大切にしたインターナショナルホテル
----9月1日にソフトオープンし、10月22日にはグランドオープンを迎えました。これからの運営方針、戦略について教えて下さい。
宿泊においては 10月11日から日本の水際対策が緩和され、着実にインバウンドの需要が伸びています。直近では日本政府が実施している旅行支援の効果もあり国内需要も大きく、その先にはインバウンドの需要回復があり、宿泊に関してはこれからさらに良くなっていくであろうと見ています。
今後目指したいのは、広島を京都や大阪に泊まって日帰りのデスティネーションという状態から脱却し、広島を拠点、もしくは起点として中国・四国地方のさまざまな魅力あるエリアを訪れてもらえるようにすることですね。日本には広島、そして瀬戸内という素晴らしいデスティネーションがあるということを世界に伝えたいです。
一方、レストランや宴会に関しては地域のお客さまからも支持されるホテルにしていきたいと考えています。そのために、ホテルとしては比較的手の届きやすい価格でご提供をしています。たとえばロビーラウンジのコーヒーの料金は著名コーヒーショップの価格と同料金にしたり、ハンドメイドのケーキやパンなどペストリーもお手頃な価格で販売をしており、お昼過ぎには完売してしまう日もあるなど、ご好評をいただいています。そのほかのレストランやバーも同様で、結果、開業早々にランチタイムだけでなくディナータイム、バータイムのご利用も多くいただいています。
----地域との関係性の構築、地域の魅力をつたえることは地方都市において重要だと思います。ヒルトン広島ではどのような取り組みをなさっていますか?
ハード面においては、館内の絵画や彫刻などアートは地元のアーティストの方とのコラボレーションを行なっています。開業準備室の頃からこのエリアで活躍するアーティストの方にコンタクトをさせていただきコレボレーションができないかと相談をし、多くの方のご協力をいただくこと
ができました。
また、ヒルトン広島のユニフォームは広島ならではのストーリーがあります。広島平和記念公園には毎年 10トン以上の千羽鶴が届くようで、過去にはそれを行政が費用をかけて処分をしていたそうです。しかし、現在ではそれを再生紙のパルプ繊維にした後にレーヨン糸にリサイクルする技術が開発され、ヒルトン広島ではそれを素材として作られたユニフォームをスタッフが着用しています。さらに、エンジニアスタッフのユニフォームも広島で 1957年から続く企業が作るプラスチックを再生した素材のものを使用しています。そのほか、さまざまなアイテムも選定においても単なる価格と品質だけでなく、地元企業という要素も加味して選定しました。
各レストランにおいても地元の食材を活用することはもちろん、バー&ラウンジ「ZATTA」では「The Asia's 50 Best Bars(William Reed BusinessMedia社)」に 7年連続でランクインした東京・恵比寿の「bar TRENCH」のオーナー兼チーフバーテンダーのロジェリオ・イガラシ氏監修による、地元の素材を活かしたオリジナルカクテルを提供します。