新しい価値を提供できるホテルを創出
----コロナ禍での開業となりましたが、「アウェイ沖縄古宇利島リゾート」の業績および今後のプロモーションなども教えてください。
阿部 行動制限などもあって今年 4月までは計画に達することはできませんでしたが、7〜 8月は好成績を収めています。7月は稼働率 77%、ADR3万 7000円、8月は稼働率 87%、ADRは 4万 2000円でした。トップシーズンのお盆期間には最上階の客室「スタービュー」(天体観測ができる望遠鏡付きの特別室)を 11万円で販売することもできました。9月はオンハンドで 53%、ADR3万円ほどを見込んでいます。
開業 1年でこのホテルのポテンシャルが明確になりました。今後は知名度を上げながら、近隣のホテルとしっかり競合できるようなコンテンツを展開していきます。コンテンツとしてテントサウナを導入しているのですが、これは大変好評です。こうしたゲストが一日ゆっくり過ごしてもらえるようなコンテンツを導入していくことで、連泊やレストランの売り上げの向上を期待します。
また、今回の提携によりグローバルブランドの運営にかかわることになりました。日本国内の運営ノウハウだけではなく、グローバルチェーンの思考やノウハウを共有できることは、弊社としても成長につながると感じています。日本がインバウンド需要で沸いていたコロナ前でも、旅行者数全体の約 30%にしかインバウンドは満たず、さらに 70%以上がアジアからの集客でした。そうしたことを考えても、FCTGを通じてと欧米からの集客も期待できることは大きなメリットと感じています。FCTGはファミリーホテルファーストという方針に基づき、グループ内のホテルを優先的に提示してもらえるのが大きな強みです。
アフターコロナでは、欧米の方々は必ず日本に旅行したいと目を向けてくれると思います。東京オリンピックは無観客になってしまいましたが、全世界に東京が放映されたので安全できれいな日本に来たいという欲求が生まれたはずです。そのチャンネルを持つ FCTGとの提携はわれわれに大きなビジネスチャンスをもたらすと確信しています。
----現状、日本のホテル業界は人材不足や高い離職率などさまざまな課題があります。どのような対策を講じますか。
ハリー 当社では活躍できる人を努めて引き上げていく文化があり、前出のように、最高責任者との相談・意見交換がしやすい環境であるほか、フレキシビリティーに新しいニーズを取り入れています。同時に、職場環境の改善を常に図り、働きがいを醸成させていますので離職率は高くありません。
阿部 2018年前後より、12アセットのホテルをMCで受けていますがそれに伴い、台湾、韓国、ベトナムなど海外でのリクルーティングを開始しています。現在600人の社員のうち約 78人が外国籍です。今回、さらに韓国から 40人採用しました。また技能実習生も活用しており、ベッドメイキングなどで積極的に採用しています。離職率を解消するためには、福利厚生の充実や賃金アップが不可欠です。クロスホテルズ&リゾーツとの提携を機に、客単価が日本人の 1.5倍、滞在期間はアジア人の約 3倍となる欧米人の獲得に注力したいと考えています。
これまでは宿泊特化かリゾートのホテル展開でしたが、いまではビジネスとレジャーを融合した「ブレジャー」というカテゴリーも登場していることから、ハイブリットという視点のもと、宿泊特化型にプールやバー、温泉があってもよいのではないか。朝食対応だけのレストラン利用ではなく、フル活用にも注力していきたいと思います。こうしたコンテンツは稼働率やADRのアップにもつながることから、新しいアセットの開発には必要な考えだと思っています。