宿泊需要激減は、想定内
----コロナ禍になり2年と半年が過ぎました。まずは、この間、どう経営のかじ取りをしてきたかを教えてください。
ホテル業界がこのような苦境に陥ることは、実は想定の範囲内でした。「感染症が」とか、「2020年に」とまでは予想していませんでしたが、東京オリンピックが終わったら必ず燃え尽きるタイミングが来ると感じていたんです。こんなにまで上り調子で、ホテルを造れば造っただけお客さんがやってきて儲かるなんていう時代がいつまでも続くわけがないと。
需要量よりも供給量が上回り、過当競争の時代は早晩やってくると…。実はそう判断し、2019年ころから対策を考え、仕込みを始めていました。その予想がコロナによって思ったより早く始まったために、考えていた対策・仕込みを急ピッチで実行しました。それがコロナ禍における弊社の動きです。
宿泊ビジネス以外のビジネスが会社を助けた
----その仕込みとは、具体的にはどのようなものでしょうか。
大きくは 3つあります。ひとつは、コンサルティング事業です。二つ目は、プラットフォーム事業。三つ目は、産後ケア事業です。コンサルティング事業は、宿泊施設の開業支援や、経営改善・宿泊企画・SNSマーケティングなどの業務支援、また観光領域での行政の委託事業などをさせていただいています。
いまではコンサルティングチームのメンバーは 8人程いるのですが、それでも抱えきれないほどのお仕事を頂戴しています。特に開業支援は、弊社の最も力を入れている領域で、コンセプト開発からオペレーション設計まで一気通貫でプロデュースさせていただく仕事はこれからも積極的に取り組んでいきたいと思っています。
プラットフォーム事業としては、ホテルの自社予約プラットフォームト「CHILLNN(チルン)」の開発および運営に取り組みました。代理店や OTAからの送客に頼るのではなく、自社の発信を通じてファンを育てていく予約エンジンという理念に共感していただき、現在では、600近い施設様にご利用いただいております。
産後ケア事業は 2020年から具体的に動き始め、今年 4月から産後ケアリゾート「HOTEL CAFUNE」として新たに開業し、弊社を支える柱の一つになりつつあります。そのほかにも、ホテル空間を活用したイマーシブシアター(没入型演劇)作品を展開する「泊まれる演劇」や、観光業の地平を切り開くオンラインスクール「Tourism Academy SOMEWHERE」なども、コロナ禍で動き出し、事業化した企画です。
コロナ前は、弊社の売上の 95%ほどを宿泊業が生み出していましたが、今は宿泊業とそれ以外が半々になるなど、事業構造自体が大きく変化しています。
2022年9月23日号 トップインタビュー (株)水星 (旧・L&G GLOBAL BUSINESS, Inc.)代表取締役 龍崎 翔子 氏
トップインタビュー (株)水星 (旧・L&G GLOBAL BUSINESS, Inc.)代表取締役 龍崎 翔子 氏
【月刊HOTERES 2022年09月号】
2022年09月22日(木)