セグメントセールスの功績 コロナ禍を乗り切る視点へ
----5年前、「インフィニートホテル&スパ南紀白浜」としてリブランド後はインバウンドの獲得に注力されていました。コロナ禍となり、現状はどのような戦略に転じていますか。
2017年 4月にリブランドオープンし、10月より現職に就きました。そこで私が行なったことは単価の引き上げを実現すべくブランディングを形成することでした。まずは、海外へのプロモーションセールスに現地へ足を運び、直接アピールしました。エリアも業界の大半がアジアに向いていたころ、私どもはアジア圏のみならず欧米、オセアニアからの誘客にも力を入れ、団体ツアー客ではなく個人客のみに絞り込み、和歌山県仁坂吉伸知事一行と一緒に直接各国に訪問しアピールしたこともありました。その甲斐あって、2019年までのインバウンド比率は 20%となり、グローバルホテルチェーンではない私どものホテルに FITから直接ご予約をいただくまでになりました。リブランド以前より客室数を大幅に削減。いまや全 74室、平均約 45m2で ADRは 5万円~にまで引きあがりました。
また、このエリアは長らく夏季中心営業が主流で、繁忙期と閑散期の価格差が 3~4倍なんてざらでした。そこで私どもは季節に左右されず通年お楽しみいただける施設に定め、繁忙期でもそこまで価格を引き上げず、いつでも訪れられる場所としての価値を見出してきました。
例えば、アニバーサリープランの造成やレストランにベビーチェアを導入しファミリー対応を強化したことで、まずは地元でのご利用が増え、そのうち県北の和歌山市周辺や近畿圏から宿泊を伴う小規模ブライダルの需要が高まりました。仮に、夏季だけのセールスをしていたら気づかなかっただろう四季折々の風景や地元食材をていねいに訴求していったことで、いまはリピート率 15%となっています。
----FITが好調だったそうですが、国内の団体や新たな需要喚起など施策はありますか。
リブランド後、団体顧客はあえて狙っていませんが、募集型の企画ツアーだけはお受けさせていただいており、年末年始のご連泊をはじめ、GW中やお盆期間中でも毎年恒例的にご提供させていただいております。もっともユーザーの評価が高かったため例年ご提供できているようです。一例ですが、『全国温泉宿・ホテル総選挙 2021』((株)ジャパンデザイン運営)で、リゾートホテル部門:関西エリア第2位、白浜温泉エリア第1位、露天風呂部門:関西エリア第 2位、白浜温泉エリア第 2位、インフィニティ部門&厳選かけ流し部門:ともに白浜温泉エリア第 1位を獲得。また、「和みわかやま」おもてなしの宿アワード 2019では、ホテル部門最優秀賞を受賞しました。これらは一つの指標ではありますが、皆さまに認められた証しととらえ励みにしております。
南紀白浜空港から至近の当ホテル周辺には、アドベンチャーワールドほか複数のゴルフ場や白良浜海岸などアクティビティが豊富です。半面、二次交通に対する課題も大きく、近年、道の駅に併設したフェアフィールド(マリオット)の開業もあり、空港から県南・新宮方面へのシャトルバスも走るようになりましたがまだまだです。県全体でも見どころがたくさんありますので、それを二次交通のさらなる発展によって、滞在時間や連泊日数を増やしていかれればと感じています。