創業 87年にして初の女性総支配人に
---- 1984年に入社されて以来、リーガロイヤルホテル一筋に励まれ、今春 4月にホテル創業以来初の女性総支配人に就任されました。まさにシンデレラストーリーですね。はじめに総支配人に就任された率直な気持ちをお聞かせ下さい。
外資系ホテルの場合、さまざまなホテルを経験してステップアップ、キャリアアップしていきますが、入社したホテルで思い描いていた夢が実現できたことはとてもうれしいことであるとともに、1000室を超える客室規模と歴史をあわせ持つホテル運営を任される重責に心引き締まる思いです。ダイバーシティ推進の中、創業以来 87年目にして初の女性総支配人として抜擢いただきました。結婚や出産してもあきらめないでチャレンジすることにより、女性もチャンスを得られることを実証できました。私自身、結婚そして出産だけでなく、家族の理解を得、海外や国内で単身赴任を経験、ホテル業界、そしてロイヤルホテル一筋に務めてまいりました。ホテル業は 365日24時間休むことがありません。肉体的にはきつい職種ですが、自分が自分であること、さらにはそうした自分が社会から認められているという存在価値、「アイデンティティ」を感じられる素晴らしい仕事です。だからこそ、あきらめずにやり続けてくることができたのだと思います。
----これまでは結婚や出産を機に退職される女性が多く見られましたが、社会や会社の制度も改善され、出産後に復帰される方も増えています。
当ホテルでは 2013年から職場イキイキプロジェクトを立ち上げ、2014年には出産後退職せず復帰していただくために、年に1回、育児休職者親睦会を開催し、先輩ママさんたちの体験談を聞く勉強会を実施しています。また今年 4月には女性活躍推進、およびダイバーシティの推進を目的に、女性が多く従事する部門から 9名を選出し、女性活躍推進プロジェクト「Royal Women's Committee」をスタートいたしました。“育休はとってみたいけど復帰の自信がない”など率直な思いや、職場改善についての意見を出し合い、さまざまな課題に対する解決策を見出すとともに、施策を実現させていきたいと思います。
男性の育休も当たり前に
----家族の理解がなかなか得られず、結婚や出産で退職されてしまう女性が多いことから、ホテル業界の管理職は圧倒的に男性です。世界的に女性の社会進出が推進されている中、なかなか改善できません。
2021年 6月時点で当社のライン管理職に占める女性の割合は 258名中 25名、9.6%です。今後、例えば定時で帰りやすい環境を整えるなどの施策を整え、この管理職の比率を 2025年 20%、2030年には 30%を目標に取り組んでいきます。女性に限らず男性の育休も当たり前に取得できるよう推進し、男女問わず働き易い環境を整えていきたいと思います。身近にロールモデルがないからと尻込みするのではく、部門を越えた女性の先輩管理職の意見や考え、体験談を聞くなどコミュニケーションを図ることで、現場のプレーヤーが働き易い環境のために常に改革していける管理職体制を構築し、2030年の目標である女性管理職30%を実現させていきたいと思います。
----それは素晴らしい取り組みです。大阪をはじめ関西は 2025年開催予定の「大阪・関西万博」やその先の IR計画など、日本における観光経済復興の要として注目されているだけに、世界基準に向けたホテル改革は必須です。
2025年の万博を開催地の大阪で体験できること、そしてチャレンジするステージに立てたことは、とてもうれしく思います。
それまでの 3カ年で目指すべきこととして『伝統と変革』をモットーとして掲げたい。大阪の迎賓館としての伝統と格式を受け継ぐとともに、常にチャレンジして新しい風を生みながら変わり続けるということです。