蔵が売るのは日本酒とそれを育んだ日本文化
島田 大利根酒造の「左大臣」という日本酒のネーミングがとても印象的ですが、どのような思いが込められているのですか
阿部 皆さんご興味を持たれるようです。実は、藤原氏時代の左大臣に由来します。左大臣は、天皇の次の位で、平安末期の左大臣、藤原常房の子で尾瀬に住んでいた尾瀬三郎の愛称「尾瀬の左大臣」にちなみ命名しました。
名前の由来にはまだあって、宇宙の法則ではすべてが左回りとなっており、左は物事の雄(ゆう)なるものとされています。そこで地酒の中でも雄(ゆう)なるものになりたいという気持ちを “左 ”という意味を込めています。さらに江戸時代の言葉遊びで、大工は右手に木槌、左手にノミを持って作業するので、左手はノミを持つ手、つまり “呑み手 ”というわけです。
島田 それはとてもおもしろいですね。海外の皆さまに日本酒を説明するときに日本の文化や歴史とともに知っていただくことはとても大事ですし、そうしたストーリーが日本の宝になると思います。
阿部 現在、日本の文化は右を中心に置いていますが、どちらが良い悪いではなく、右、左を見据えてその先を見る必要があると思っています。今回私たちが 2021年 1月に取得した GI利根沼田は、同じようにわれわれの日本酒の先を見すえた取得と言えると思います。
島田 その GI取得について伺いますが、GIを取得する意味をどのようにお考えですか