ホテルの稼働率が高まれば高まるほど道の駅にプラスのインパクトをもたらせる
-----働く人材について課題はありますか。
道の駅プロジェクトを発進するにあたって苦労したことの一つは人材を集めることでした。その理由として、私たちは道の駅の後ろに必ずある地方自治体の皆さまと一緒に取り組んでいかなければならないことが挙げられます。つまり人材募集にあたって、地元雇用を最優先する必要があることがハードルになってしまうケースがあったのです。
マリオットの看板を背負って接客するためには、開業前にマリオットのスタンダードを身につけてもらわなければなりません。最初は大変でしたが、現在日本に72軒あるマリオット系列のホテルからベテランスタッフを各施設に 3カ月間派遣してもらい、最初の1カ月で基本的なチェックイン、チェックアウトのやり方や PMSの使い方などをご教示いただきました。さらに内覧会や開業後の現場でリアルに起こる局面に対処していくために、ベテランスタッフにさらに 2カ月間、直接アドバイスをいただきながら船出をしました。
お客さまからいただくコメントを真摯に受け止め、同じ失敗を繰り返さないように、2週間に 1回行なっている各施設の支配人同士の会議で情報を共有し、それぞれの現場と比較しながらそれぞれレベルの向上に努めています。今後も横のつながりでコミュニケーションを取りながら、フェアフィールド・バイ・マリオットのサービススタンダードを維持していく流れを創り上げていきたいと思います。
----フェアフィールド・バイ・マリオットが開業したことで、道の駅に何かしらの変化は起きていますか。
ホテルができたことで道の駅の客層が変化したり、より盛況になるといった現象はぜひ起こってほしいと願っています。最初の6軒を開業したときはちょうどコロナが下火になっていて、Go Toトラベルキャンペーンがピークになっている時期でした。密を避けるために都会を離れて空気のいいところに移動したいという風潮を背景に、私たちの想定をはるかに超える爆発的な動きが見られました。栃木宇都宮においても、2020年 11月に70%超をマークした稼働率記録は今のところ破られていません。そうなると近隣の道の駅にも人々が押し寄せることになります。人が来ればお金が落ちるので、道の駅にプラスのインパクトを与えることになります。
ただ、私たちが大切にしなければならないのは道の駅はもちろん、さらに大きな地元の界隈への波及効果です。道の駅は夜間に営業していないところも多く、旅において重要な夜の食事に対応できないケースもあります。せっかく訪れた土地で地元のものを食べたいという欲求は必ずありますから、ホテルが地元のレストランをご案内する役割を果たしていく必要があります。そのために各施設でオリジナルの地図「ごちそうマップ」を作って近隣の店舗をおすすめしています。
今はコロナ禍にあるためなかなか思うような動きにつなげることはかないませんが、いずれごちそうマップを通じてクチコミがいい方向に話題になってくれることを目指して準備を進めておきます。