世界でも名高いホテルを擁するホテルコレクション
----まずはドーチェスター・コレクションに関してご紹介をお願いします。
ドーチェスター・コレクションは 2006年に設立されたヨーロッパやアメリカなどに9軒のラグジュアリーホテルを経営・運営するホテルグループです。
イギリスに「ザ・ドーチェスター」、「カワース・パーク」、「45 パークレーン」、フランス・パリに「ル・ムーリス」、「ホテル・プラザ・アテネ」、イタリア・ローマの「ホテル・エデン」、アメリカ・ビバリーヒルズの「ザ・ビバリーヒルズ・ホテル」はじめ世界でも名の通ったホテルを運営しております。
特徴としては、 “Embodying our destinations(デスティネーションを体現する) ”という言葉を使っているのですが、各ホテルがそれぞれの国、エリアらしい個性を生み出していることで、ザ・ドーチェスターにおいてはブリティッシュな、ホテル・プラザ・アテネではフランスらしい、ザ・ビバリーヒルズ・ホテルではアメリカ・カリフォルニアらしい雰囲気を生み出していることがドーチェスターコレクションの特徴です。雰囲気というのはハード面のみならずサービスや料理、そして人など、ラグジュアリーかつその土地らしい雰囲気を表現しております。
ゲストフォーカスの取り組みが強いファンを獲得している
----ドーチェスター・コレクションと言えばスイートルームでも有名です。経営・運営をされているホテルの客室の 3分の 1がスイートルームということで、その客室一つひとつがファンを獲得していることも特徴です。そうした企業ブランドをどのように創り上げらたのでしょうか?
ハード面においても7年に一度リノベーションをするなど継続的にクオリティーの維持に取り組んでいますが、同時に私たちは常にゲストと向き合い、そのゲストのパーソナリティーが逆にホテルのブランド・イメージを創り上げてくれています。それが私たちの特徴であり、スピリットであるのです。後ほどお話しをしますが、サービスへの取り組みを含め、長い歴史とお客さまによって創り上げられたハード、ソフト、サービス、人、それは私たちだけの個性であり、強みであるのです。
具体的には、ハードの面で、あるお客さまは海を眺めることができるスイートルームを好み、あるお客さまは中庭を眺めることができるスイートルームを好むなど、当然スイートルームの好みが違います。また、ウェルカムのドリンクがコーヒーを好むお客さまもいれば、紅茶を好むお客さまもいらっしゃいます。また、部屋の使われ方も人それぞれです。時に写真を撮ってそれを共有します。例えばビバリーヒルズでお泊りになったお客さまがロンドンにいらっしゃるのであればそれを同様にアレンジしたり、そういうことができるシステムに私たちは多大な投資をしています。そうした積み重ねが、お客さまがまたいらっしゃってくださる理由になっていると思います。
“People make the difference”そこに真剣に取り組む
----そうした取り組み、差別化がなぜ継続できているのでしょうか?
一言で言えば“人”です。 “People make the difference(人材が他社との違いをつくる) ”。私たちは先ほどお話ししたシステムだけでなく、トレーニングにも多大な投資をしております。そうした取り組みが、他社との差別化要素となっているのです。
----一方で、同じ様に他社も“People make the difference”と言います。御社は、何が違うのでしょうか?
分かりやすい事例では、私たちは2018年 1月に「ドーチェスター・コレクション・アカデミー」を設立しました。実際に私たちラグジュアリーホテルの哲学、考え、運営について教育をしているのです。
ラグジュアリーホテルとして先ほどお話ししたようにハード面での取り組みもありますが、最終的には人が顧客を惹きつけています。弊社のさまざまな取り組みで育ったスタッフたちが、私たちの顧客をつくっているのです。
----今回の ILTMではサステナビリティーと同時にウェルネスも高い注目を浴びていることが分かりました。御社はウェルネスに対してどのような取り組みをなさっているでしょうか?
ウェルネスというのは、スパだけではなく食事や過ごし方含め幅広い意味があると考えています。また、それがサステナビリティーにも密接に関連しており、総合的に考えなくてはならないものです。そうしたウェルネスやサステナビリティーなど総合的な観点での取り組みが必要であると考えています。
また、興味深いのが若い方ほどそうした意識が浸透している点です。お客さまがファミリーでいらっしゃると、お子様やお孫様の方が排プラスチックなどに興味と知識があり、ご両親などに説明をしたりされているシーンを見ます。