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2022年1月7-14日号 特集 I アフターコロナの大予測 #1 「SDGs」市場

特集I アフターコロナの大予測 #1 「SDGs」市場 インタビュー (株)帝国ホテル 代表取締役常務 徳丸 淳氏

【月刊HOTERES 2022年01月号】
2022年01月13日(木)
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SDGs推進の実情に合わせて組織を再編成

----初めにサスティナビリティ推進委員会発足の経緯と活動内容について教えてください

 当社では SDGsへの対応を積極的に推進するため、2020年4月にサスティナビリティ推進委員会を設立しました。すでにあった環境委員会の名前を変えて機能を SDGs推進の実情に合わせたのです。サスティナビリティ推進委員会は取締役会直下にあり、委員長は社長、その下に事務局として SDGsチームがあり、「人事部」「3R(Reduce,Reuse,Recycle)チーム」「省エネルギーチーム」「総務部」で構成されています。全役員と全部長が関わり、人事発令し各部署から代表を集め、それぞれ十数名で構成しています。
 
 人事部はダイバーシティー推進、人権啓発、災害支援などを進め、3Rチームは食品ロスやプラスチック使用量の削減、ゴミの分別など、省エネルギーチームはエネルギーの使用量や CO2排出量の削減など、総務部は地域貢献、ボランティア活動、バリアフリー対応などをそれぞれ進めます。これらを統合してSDGsチームがコントロールし、サスティナビリティ推進委員会に報告するという仕組みです。 

----SDGsは売り上げに直結しないと言われていますが、従業員に浸透させていくために工夫されていることはありますか

 それはとても大きな課題の一つで、経営陣がどんなに音頭を取っても実践するのは従業員です。彼らが納得して腑に落ちてSDGsを自分のこととして実施することが大事なのです。SDGsが売り上げ増に直接結びつかないと言われましたが、確かにそういう側面はあると思います。ただ当社が企業として持続的に存在するには SDGsが不可欠だということを従業員に伝えています。
 
 以前の大量消費時代は、お湯を大量に使い、クーラーを効かせ、豪華な料理を食べる優雅な滞在が、ホテルの提供する価値だと考えられていました。しかし、これでは地球環境にも負荷をかけますし、CO 2排出という側面においては環境に負荷をかけてしまいます。
  
 ホテル業は平和産業です。われわれが提供しているのは生活に絶対必要なものではなく優雅さなどをプラスアルファする、ラグジュアリーと呼ばれているものです。それを提供することが私たちの産業の価値だと思っています。しかし、こういう緊急事態においては、まず切り詰められてしまう部分だということを今回の新型コロナウイルス感染拡大で皆が痛感したと思います。この産業が成立するベースには社会が安定し人々が安寧に暮らしていることが、活動基盤になると思います。環境対応をはじめとした SDGsへの取り組みは、指示をされたからやるということではなく自分のこととして行動することが必要なのです。

 当社では社報の中で SDGsについて連載したり、従業員への講話や新入社員の研修の中に織り込むことで意識を高めようとしています。さらに今後も SDGsのさまざまな活動を紹介していこうと計画しています。
 
 われわれは 1890年に日本の迎賓館として生まれました。そういう意味では社会的要請で生まれたホテルですので、何かの役に立ちたいという思いが従業員には深く浸透しています。それを忘れないように、ことあるごとに伝える。そうすればそこから先の応用は自分たちでできると思います。 

----従業員が自発的に SDGsを考えることを促す施策もあるのですか

 帝国ホテルの初代会長である渋沢栄一は「論語と算盤」という著書の中で経済と社会貢献の両立が重要だという考えを持っていました。当社では、新しい企画商品・仕組みを策定する際には、売上・利益(算盤)だけで考えず社会貢献(論語)を加味した企画内容にしてほしいと期待しています。そのために新しいアクションをするときの決裁書には目標売り上げ、経費に加え、SDGsに貢献できることを記入する欄も設けています。

 例えばウエディングドレスや、販促の用紙やインクが SDGs対応型であるか。環境だけでなくダイバーシティーの観点から女性スタッフを中心に進める、場合によっては従業員の障がい者がメンバーに加わるなど。通常であれば利益を中心に考えるのですが、プラスアルファの SDGsに取り組む思考を持ているようフォームを変更した次第です。

 

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本記事は2022年1月7-14日号 特集の一部紹介記事です。
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