まずは「日本一のホテル」の目標を達成し続いて「京都の歴史に残るホテル」へ
----これからのフォーシーズンズホテル京都は、京都のマーケットにおいてどのような存在になっていくと考えていますか。
私たちのホテルを利用してくださるのは、宿泊のお客さまだけではありません。レストラン、宴会場、ウエディング、スパなどもあり、これらの施設は地元・京都の方々に支えられている面が非常に大きいと思っています。世界的に有名なブランドホテルですから、世界各国のお客さまに支えられてきた面はもちろんありますし、コロナ収束後もその軸は大切にしていく必要があります。それと同時に京都の方々に支えていただいている部分についても、さらに重きを置いていかなければならないと考えています。
フォーシーズンズホテル京都は開業当初から、周辺の住宅地、寺院、学校などとのつながりを築いてきました。地元で生活されている“お隣さん”との関係性の中でホテルが生まれ育っている以上、2代目の総支配人としてこれからもますます地元の皆さまとお話させていただき、つながりを深めていきたいと思っています。
たとえば地元の学校に音楽発表会の会場として私たちのホテルのチャペルを使っていただくといったお話も、実際に提案させていただいています。このように京都の方々に「私たちの地元のホテルだ」と感じていただけるような取り組みを、今後も続けていきたいと思います。
つまり私は、商売だけの話ではないと思っているのです。フォーシーズンズホテル京都が持っている施設を地元の方々に使っていただく機会を創り出す方向性を、次の 5年間で本格的に追求していくつもりです。
京都の場合、行政も観光施策を身近なものとして捉えているので、たとえば京都市が考えている今後の観光施策と連携していく活動も強化していく必要があると思います。もちろんホテル単体としても利益を上げていかなければなりませんが、同時に京都市、京都府、関西圏により多くのお客さまに来ていただくための取り組みを進めることは、結果として私たちのホテルにとってもプラスに働いていくと考えています。
----どちらかと言うと、シームレスな形で使っていただけるホテルを目指しているのでしょうか。
フォーシーズンズホテル京都で結婚式を挙げたご夫婦にお子さまができて、お食い初め、七五三といった節目の記念日にホテルを使い続けていただく。そしてお子さまが成長して、また結婚式をこのホテルで挙げてくださるというサイクルを構築していきたいと思います。祖父母も含めてご利用の層が重なっていく世界を、未来に向けて創っていきたいのです。そのための働きかけは、今後もコンスタントに続けていくことになります。
私が総支配人に就任したとき、できるだけ早く私が立てた目標を全スタッフに伝えるべきだと考えました。そこで発表したのは「このホテルは日本一のホテルになります」という目標でした。その目標を達成した後は、「京都の歴史に残るホテル」を目指していくつもりです。やがて多くの人々に「京都と言えばフォーシーズンズホテル京都」と思っていただけるように、しっかりと自分たちの歴史を刻んでいきます。
----京都という特殊な観光エリアで、国際的なブランドを維持しながら、地元に根付いた人懐っこいホテルを展開し、日本一のホテルを目指す。面白いコンセプトだと感じました。