今回は新型コロナウイルス感染拡大の中で注目された淡路市を取り上げる。人材派遣大手の(株)パソナグループが淡路市に本部機能を分散したことは大きな話題となった。これに刺激され、人口減少に悩む全国の地方自治体においてさまざまな地方活性化施策が活発化している。コロナ禍の地方での働き方のデータも併せてみていこう。
1. マーケットポテンシャル
淡路市は兵庫県南部、瀬戸内海に位置する淡路島の北部に位置している。陸路での往来が可能で、世界最長の吊り橋である「明石海峡大橋」から神戸市垂水区にアクセスできる。また、淡路島南部には徳島県に接続する「大鳴門橋」が掛けられており、近畿と四国を結ぶ交通の要衝となっている。
淡路市の自市内就業率は75.6%と非常に高く、ほぼ自市内で完結している状況だ。都市勢圏を見ると淡路市には隣接する洲本市から8.8%の流入があるのみで、その他の都市からは5%以上の流入は見られない。また、商業拠点性指数(※ 1)を見ると淡路市は1.04 で、就業環境と同じくほぼ自市内で消費が完結している状態である。淡路市の大型店を見ると、「淡路ベイプラザ アル・クリオ(店舗面積1 万5782㎡)」と「カリヨン広場(3435㎡)」のみとなっている。
淡路市の人口は4 万3726 人(2019年12 月末人口)で、県内の人口シェア0.8%となっている。淡路市と洲本市、南あわじ市の3 市が淡路島に位置しており、洲本市が4 万3743 人、南あわじ市が4 万7158 人と、各都市の人口規模は小さいが、合計すると13 万人を超えており、この数値は国内の離島の中では最大(沖縄本島除く)となっている。その他の周辺都市を見ると、周辺には県庁所在地で148 万9820 人を擁する神戸市や、29 万9743 人の明石市、26 万3031 人の加古川市など県内で人口規模の大きい都市が位置している(図表1)。
増加率(19 年/ 14 年)を見ると淡路市は▲ 6.4%の減少となっている。淡路島のその他の都市も洲本市が▲6.6%、南あわじ市が▲ 5.9%と減少している。淡路島全体として▲ 6%程度の減少にあると言える。周辺で増加しているのは明石市の1.9%のみである。
淡路市の年齢構造を見ると、若年人口比率は15.5%、適齢期人口比率は16.8%となり、全国レベル(若年人口比率17.4%、適齢期人口比率22.3%)と比較して若年人口比率、適齢期人口比率ともに下回っていることが分かる。淡路島のその他の都市は、洲本市が若年人口比率16.1%、適齢期人口比率17.2%、南あわじ市が若年人口比率16.3%、適齢期人口比率17.1%となっている。これら2 市は淡路市よりも若干人口ポテンシャルが高くなっているが、淡路島全体では類似した年齢構造にあると言えるだろう。その他の周辺都市を見ると、加古川市や明石市で若年人口比率、適齢期人口比率がともに全国レベルを上回り、比較的高い傾向が見られる。高齢者比率(65 歳以上人口比率)を見ると淡路市は36.2%で全国レベル(26.6%)を大きく上回る結果となった。淡路島のその他の都市も30%を超えており、淡路島全体として高齢化が進展していると言える(図表2)。
将来推計人口を見ると淡路市はすでに人口減少フェーズに入っており、2040年ころには2010 年ベースから約35%減少すると推計されている。淡路島のその他の都市もおおむね同様の傾向にあり、将来的な人口バランスも変化はない(図表3)。
淡路市の婚姻件数(2017 年)を見ると、130 件で、シェア0.5%と小さく、人口シェアよりも低くなっていることから、ブライダルマーケットが流出していると考えられる。婚姻率を見ると淡路市は2.89 件で、全国レベル(4.83 件)、兵庫県平均(4.63 件)を大きく下回っている。淡路島のその他の都市を見ると、洲本市が3.77 件、南あわじ市が3.10 件であり、淡路市よりは高い値であるものの、やはり全国平均や兵庫県平均は下回っている(図表4)。
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2021年4月9日号 観光・ブライダルマーケットエリアデータファイル 《淡路市編》
2021年4月9日号 観光・ブライダルマーケットエリアデータファイル 《淡路市編》
【月刊HOTERES 2021年04月号】
2021年04月08日(木)