沖縄振興開発金融公庫企画調査部はこのほど、「2014年度県内主要ホテルの稼働状況」および「新石垣空港開港後の八重山地域の主要ホテルの稼働状況」について調査結果を発表した。
2014年度の県内主要ホテル(73軒)をシティホテル、リゾートホテル、宿泊特化型ホテルの3タイプに分けて、それぞれ客室稼働率、客室単価、平均売上高を分析したもの。2013年3月に開港した新石垣空港開港時期を起点に、2012年度を「開港前年度」、2013年度「開港初年度」、2014年度を「開港翌年度」と分けて3年間の推移を追った。
1.2014年度県内主要ホテルの稼働状況
客室稼働率(OCC)(図表1~4)
・シティホテル80.9%(前年度比+3.7%ポイント、以下%P と略)、リゾートホテル79.1%(同+3.0%P)、宿泊特化型ホテル80.1%(同+5.7%P) となり、全てのタイプで前年度を上回った。
・円安の継続による外国客の増加、国内・海外航空路線拡充、クルーズ船の寄港回数増等を背景に入域観光客数が好調に推移したことから、全てのタイプで前年度から大きく上昇した。
客室単価(ADR)(図表 1~4)
・シティホテルは1万484円(前年度比3.7%増)、リゾートホテルは2万189円(2.9%増)、宿泊特化型ホテルは6701円(8.7%増)となり、全てのタイプで前年度を上回った。とりわけ2008年9月のリーマンショック以降低下が続いていたシティホテルおよびリゾートホテルの客室単価は下げ止まりの兆しが見られる。
・シティホテルおよびリゾートホテルでの改善要因としては、①入域観光客の増加で一定の稼働率が確保できる目途がつき、客室単価アップに軸足を移して取り組めるようになったこと、②稼働率確保の目途がついたことにより低価格客層の集客を行なわずにすむ事業環境となったこと、③リニューアル工事等による客室単価の上乗せが図られたこと、④リゾートホテルにおいて、八重山地域の客室単価が上昇した等が挙げられる。宿泊特化型ホテルは、外国客やLCC利用客等の需要増、底堅いビジネス需要、八重山地域ホテルの客室単価上昇等から前年度を大きく上回った。
RevPAR(レブパー:販売可能な一室当たり平均室料)(=客室稼働率(OCC)×客室単価(ADR))(図表5~7)
・シティホテルは8481円(8.8%増)、リゾートホテルは1万5966円(7.0%増)、宿泊特化型ホテルは5366円(17.0%増)となり、すべてのタイプで3年連続して前年度を上回った。
・月別のRevPARを前年度と比べてみると、シティホテルは、増税分の転嫁が遅れた4月、大型台風の週末への襲来等のあった10月における客室単価の低下を除いて、概ね客室稼働率および客室単価の双方が改善したことから前年度を上回った。リゾートホテルでは、台風襲来のあった10月、年末年始の日並びが悪く客室単価が低下した1月を除き、概ね客室稼働率および客室単価の双方が改善したことから前年度を上回った。宿泊特化型ホテルでは、客室稼働率および客室単価の双方が改善したことから通年で前年を上回った。
1ホテル当たりの平均売上高(図表8~10)
・ホテルタイプ別の1ホテル当たりの平均売上高をみると、シティホテルは1751百万円(3.7%増)、リゾートホテルは2657百万円(4.6%増)、宿泊特化型ホテルは337百万円(15.8%増)と、すべてのタイプで前年度を上回った。特に宿泊特化型ホテルは二桁増と前年度を大幅に上回った。