「グレート・リボーン」から 「グレート・リセット」へ
---感染者数は大きな拡大はないものの終息は見えません。まさに「With コロナ」の時代、どのようにマーケットを見据え、取り組んでいらっしゃるのでしょうか?
以前、あるメディアで来年のダボス会議のテーマが「グレート・リセット」と言われていたのが印象的でした。私たちはリニューアルオープンの時に「グレート・リボーン」という気持ちでやってきたわけですが、それを受け「グレート・リボーンからグレート・リセットへ」という意識で未来に向き合っています。
そして嬉しいのは、新しい時代に向けた提案を若手スタッフも積極的にしてくれていることです。例えば、パレスホテル東京ではGBAC STAR(TM)(GBACSTAR Facility Accreditation)という国際的な衛生基準認証を日本で初めて取得したのですが、このプロジェクトも現場メンバーからの提案でした。プロジェクト自体も宿泊や営業など部門の垣根を超えて若手メンバーも積極的に参加し、早期に認証を得ることができました。
また、ホテルの規模が大きいこともあって組織的にはどうしても縦割りの状態になってしまっていたので、これを機に横断的な連携ができればと従業員食堂をスタッフで運営するプロジェクトも実施しました。宿泊、料飲、宴会、調理など幅広い部門のスタッフが一つのチームとなって従業員食堂を運営するのです。レストラン名からメニュー内容まで全て考えさせ、調理を調理スタッフだけがするのではなく、皆で助け合いながら運営する。
もちろん、売り上げ管理から原価管理まですべて見させます。その結果、従業員食堂の集客を頑張ったり、アップセルの取り組みをしたり、自分たちの努力が実際に数字として表れる体験ができました。1 カ月ごとにチームメンバーを変え、いろいろなスタッフの仕事のスタイルや意外な一面も見られる良い機会ともなりました。今は本業が忙しくなってしまい月ごとのプロジェクトではありませんが、期間中はパレスホテル東京の11 個目のアウトレットと考え、「従業員食堂と呼ぶな!」と言っていました(笑)。
時代が変わる中で、パレスホテルも変わる
コロナの影響で人々の価値観含めて時代が大きく変わり、ちょうどそのタイミングで(株)パレスホテルの社長が代わり、ホテルとしても企業としてもまさにリセットの時期を迎えています。新たな経営理念を策定し、密を避けるため1 回あたりの参加人数を絞り実施している計27 回のワークショップの中で、社長が社員に直接伝えています。
GoTo トラベルのおかげもあり現場は忙しくなり、マーケットが戻ってきたという手応えを感じています。雇用調整助成金に助けられていましたが、状況は変わってきました。
まさに「守りから攻めへ」という状況です。
コロナを機に、改めて原点に立ち返ろうと皆には言っています。お客さまの満足度、そしてスタッフの視点も大切に、やるべきことをやっていく。ニューノーマルが求められる中、私たちもリセットし、開業の時と同様に、これまでの資産を大切にしながらも新しいパレスホテル東京を再構築していこうと考えています。