調査結果の概要は、今後旺盛な観光需要が期待できるものの、動きはやや鈍く、最初は20 歳から30 歳代、その後移動手段の安全性も勘案しつつ、少しずつ40 歳以上の市場に広がりを見せるものと思われること、また、旺盛な観光ニーズを背景に全体的には旅行の移動距離は広いものの、特に女性では近場を求める声も多いほか、ファミリーでの観光が多く見込まれること、感染症対策と同時に、これまで同様の手厚いサービスも求めているという結果でした。
前回に引き続き、そのほかパンデミック宣言以降の国内観光需要の特徴を、弊社アンケート調査結果に基づきご紹介したいと思います。全国1 万名に対するアンケート調査では「観光に行ってよい環境となれば」観光に「是非行きたい」、「行きたい」、「やや行きたい」と回答した人の合計割合が80.5%という結果でした。その中で、どのような施設に行きたいかを調べると、旅館が49.5%と観光ホテルの22%を上回っていました。同調査結果の背景には、前回ご紹介しました、現在顧客が求めている観光ニーズのうち、「おいしい食事」、「そこでしか食べられないもの」、「温泉」の三つが非常に強いこと、それらが「旅館」で連想されることも一因と考えられます。それら3 要素は、別途パンデミック宣言後に弊社が実施しました旅行ニーズ調査で重視されていた「心身ともにリラックスしたい」という欲求を反映したものと考えられます。つまり、ホテルでもそれらについて個別に事前期待として伝えることができれば、同様のニーズが期待できるものと思われます。
2020年10月9日号 新しい視点「ホテルの価値」向上理論 ホテルのシステム思考
第416回 今後の旅行市場の顧客像(2)
【月刊HOTERES 2020年10月号】
2020年10月07日(水)