人材不足、教育不足の中でどう戦うか。ホテル・旅館の業務効率化や人材育成を支援するNBS
■最初に貴社の概要を教えていただけますか。
中島 NBSの設立は2013 年。メイン事業はホテル・旅館などに向けたコンサルティングです。運営改善、コスト削減、組織改革、従業員教育など多様な切り口から運営を支援しています。もともと私もホテルの出身で、少しでもホテル経営を支援したい、という気持ちで会社をスタートさせました。われわれの役割は、オーナーと現場とのつなぎ役です。さまざまな経営判断をされるオーナーの相談相手になる一方、現場が納得・理解して行動してもらうためのコンサルティングを実践しています。
■アンドプラスの開発背景をお聞かせください。
長野 これまでの7 年間で蓄積してきたノウハウをシステム化し、われわれのサービスが提供できない施設にもノウハウとして提供していきたいと考えたのがきっかけです。NBSのクライアントは地方の中小ホテルが大半です。もともと人材が少なく、専門職もいない、教育も十分にできない。それでも打ち勝っていかないといけないのに、売り上げにつながる、使いやすいRMシステムはほとんどありませんでした。そこで、現場の声に応えるシステムを自社で開発しようと思い立ち、2019 年9 月に正式リリースしました。目指したのは、PMSとサイトコントローラーをつなぐシステムとして機能させていくこと。RMでは料金コントロールだけでなく在庫の管理も重要になってくるからです。
予約の見える化、情報の一元化、ノウハウの共有。まずはこれだけでスタッフの意識が変わる。
■特徴を教えてください。
長野 アンドプラスは、ホテル・旅館の業務効率化や人材育成を支援するグループウェアです。緻密なRM、情報共有、自走するチーム作りに効果を発揮します。最大の特徴は、システム開発会社の発想ではなく、現場を熟知したホテルコンサルの発想で開発したRMシステムであること。予約の見える化、情報の一元化、ノウハウの共有化もすべて現場のニーズに基づいて実現されたものです。
■他社のRMシステムと違いは?AIに依存していませんね。
長野 スタッフ自らがトライアル経験を積み重ね、スキルも上げられるシステムを目指しました。RM、マーケティングは各施設ごとに異なってきます。
しかも、昨年と競合の状況ががらりと変わることもありえます。加えて、現状はコロナ禍で状況が読みにくくなっています。そういう場面では、AIは機能しないというのがわれわれの考えです。やはり、最終的には人間の判断で対策を講じていくことが大切なのです。そこで、予約の動きまではアンドプラスで解析し、あとは人間が考えるようなシステムにすることを思い描きました。これを毎日のPDCAに落とし込むことで、オンハンドを増やしていけますし、スタッフのスキルも高まります。さらには、メンバー全員でクラウドでつながることにより、全員のスキルを上げていくことができます。
■手軽に安く提供することにこだわられたとお聞きしています。
どうしても高いシステムでは導入がしづらくなります。それを避けるためにも、われわれはあくまでも自社ノウハウ・自社開発にこだわり、コスト削減、開発スピードのアップを実現してきました。現状、施設の規模や用途に合わせて3 段階の料金帯を設定しており、大手チェーンから地方の旅館までさまざまな施設にお手軽に導入いただけます。ほかに必要なのは、PMSデータだけです。ホテルのデータはPMSに最も集約されています。そのデータをワンクリックでこのシステムに入れられるので間違いがありませんし、効率化にもつながります。
■無料版もリリースされました。
長野 現在、コロナ禍で多くのホテルや旅館は厳しい局面にあります。このような状況ゆえ、「新規予算を捻出できない」「稟議(りんぎ)も書けない」という声をたくさんいただいています。機能は制限されるものの、必要な機能があればオプションで追加できる無料版をご用意することで少しでもお力添えができればと考えました。
無料版もあるので、レベニューマネジメントツールをまだ導入していない施設は特に検討いた だきたい