公益社団法人全国調理師養成施設協会は2019年8月4日・5日の2日間、「調理技術教育学会第1回学術大会」を、東京・渋谷区の服部栄養専門学校で開催した。今回は「新たな時代を迎えて.伝承とイノベーション.」をテーマに、デモンストレーションや講演、研修会、研究発表などが行なわれた。全国調理師養成施設協会の関係者のみならず、全国の調理師関連全体のレベルとスキルの向上を目指したもので、約 2年間の準備期間を経て 2019年 4月 1日に設立された調理技術教育学会の記念すべき第 1回の学術大会となった。
調理技術教育学会第 1回学術大会 1日目の 8月 4日、全国調理師養成施設協会会長としてあいさつに立った服部幸應氏は「調理師の技術向上のために私たちは勉強しなければならないという共通認識のもと、調理技術教育学会を立ち上げました」と述べた。「お集まりの皆さまにとってもプラスになる内容かと思います。この 2日間を充実した充電期間にしていただければと思います」
オープニングデモンストレーションは「Km 0(キロメートルゼロ)」をテーマに、スペイン・バルセロナ生まれのシェフ、ビクトール・キンティーヤ(Victor Quintilla)氏によって行なわれた。カタルーニャ地方の伝統的な料理をベースに自らの感性によって現代的な料理を創り上げるキンティーヤ氏は、地元の生産者から旬の食材を直接仕入れ、生産者への敬意と素材への愛着を反映した一皿へと結実させる手法など、自らの料理作りのポリシーを語った。デモンストレーションでは、カタルーニャの伝統的な技術と必要だと感じた上で採り入れた新しい技術を融合させ、甘エビ、甘鯛、アサリなどを使った料理 2品を作った。
司会を務めた日本ホテル(株)総括名誉総料理長の中村勝宏氏は「自分の近くにいる生産者が作った新鮮な食材を使うという信念を、キンティーヤ氏は『Km 0』という言葉で表現しています」と解説した。「カタルーニャの風土を大切にし、スローフードやクラシックなフレンチからも影響を受けながら、自分の個性で一皿を作る料理人の生き様を、私たちの学会がスタートを切った今日見せていただけたことに感謝します」