近年、ホテル業界に新しいトレンドを生み出し、注目を集めるエースホテル(本社:アメリカ・ニューヨーク州)が、京都市中京区にある「新風館再開発計画」に、2020 年春、10 番目となる「エースホテル京都」の開業を予定している。アジア初進出となる京都や日本の魅力、NTT 都市開発株式会社がパートナーとなった背景、エースホテルが目指すホテル経営について話を伺った。
▷まずはエースホテルの特徴について、お聞かせください。
ウィルソン エースホテルは新しいライフスタイルホテルです。クリエイターが集いカルチャーの生まれる場所を目指し、アメリカ・シアトルで1999 年に創業しました。従来のホテルとは異なり、その街を敬愛し、地域コミュニティや地元企業とコラボレーションすることで、ホテルだけでなく地域全体の発展に貢献するインクルーシブモデルが特徴です。地元のアーティストや職人たちの作品を紹介できるプラットホームとして、文化の発信拠点にもなっています。パブリックエリアは、街の公共の場にもなっており、ホテルは地域コミュニティを活性化させる中枢としての役割を担っています。
ホテルが従来のように国内外の旅行者を受け入れるだけでなく、地域コミュニティの拠り所や中心になるという2 つの顔を持つことにより、国際マーケットとローカルマーケットの双方からさまざまな人や物事が集まり、混ざり、分かち合うという、エースホテル独自の開かれた環境が作り出されているのも特徴でしょう。その知名度は本拠地のアメリカはもちろん、2013 年に進出したイギリス・ロンドンでも高まっています。
▷いよいよ日本に進出となりますが、エースホテルにとって京都、日本の印象はいかがですか。
ウィルソン 独自の歴史や文化、芸術、建物で知られ、創造力がみなぎる京都は、興味が尽きない街です。私たちは日本文化や職人技などに憧れるだけでなく、運命のようなものも感じています。というのも、エースホテルの共同経営者であった故・アレックス・カルダーウッドは、同ホテルグループを設立前に、映画館や理髪店などさまざまな事業を始めましたが、初めて大きな利益を生み出した事業は、アメリカで仕入れたヴィンテージのブルージーンズを、日本で売ることだったからです。その後も著名な日本のアーティストやブランドとも共同プロジェクトを行い、日本で事業を展開したいといつも夢見てきました。