中国が急速に変わっている。われわれは中国への認識を新たにしなければならない。今回現地取材に伺った中国産養殖キャビア(チョウザメ)の品質の良さと、衛生面にかける情熱はまさしくそのことを証明していた。中国産食品の品質は世界と伍していけるまでに成長していることを目の当たりにしたのである。キャビアのチョウザメ養殖場と生産加工工場の衛生管理は世界基準を完全にクリアし、フランス3 ツ星レストランの多くが採用している。品質の良さは世界のシェフが認めるところだ。ダイナミックな展開とさらなる世界進出を進める中国産養殖キャビア生産メーカー「カルーガクイーン」の最前線を写真とともにレポートする。
国家一級水源地の奥で養殖
世界初キャビア取り出し成功
「カルーガクイーン」の生まれ故郷は上海から高速道路で約4 時間。浙江省杭州市からは約130㎞。西郊外淳安県にある「千島湖」という場所にある。千島湖は人工的な湖で、1959 年新安江水力発電所を建設するため、ダム湖が立てられ誕生した。湖の中に島が1078 もあるので、千島湖と名付けられた。湖の面積はシンガポールとほぼ同じ。約580㎢もある広大なものだ。
キャビアの親であるチョウザメの養殖場はその奥地一角を利用している。ダムに入り込む川水はなく雨水だけが注ぎこむ。国家一級水源地でもあり周辺への生活用水としての役割も担っている。
さらに1982 年国家国務院が初めて指定した中国に44 カ所ある国家級風景名勝区の一つで、現在では中国国内で一番大きな国家級の森林公園でもある。豊かな水源でかつ安全が保障されている湖でキャビアが養殖されているということをまずは念頭におきたい。
湖は森に囲まれ、枯れて落ちる葉が腐葉土になりプランクトンの発育に適し栄養分の豊富な水になっている。湖の奥へ進むと水は紺碧色になる。キャビアの養殖をしている場所は湖の最も奥深いところだ。その場所に行くには専用のモーターボートに乗り時速70㎞で45 分かかる。昼過ぎに到着したが湖は波一つなく深い紺碧の色に包まれていた。
キャビアを養殖している会社はHangzhou Qiandaohu Xunlong Sci-tech Co., Ltd. ブランド名は「カルーガクイーン」。国家機関の水産研究所で1998 年からチョウザメの養殖研究を手掛けてきた王博士が国のバックアップを受けて設立した会社だ。8 年間の研究成果で2006 年に世界で初めて卵を取り出すことに成功。それから12 年。キャビアの品質はヨーロッパをはじめ米国など世界20 カ国に輸出するまでに成長している。
キャビアは水質が命。湖は山々に囲まれているため伏流水が流れ込み透き通るほどきれい