左から タイムリープ㈱ 代表取締役 CEO 望月 亮輔氏 、日本ホテル㈱ 取締役 JR東日本ホテルメッツ本部 本部長 國井 直樹氏 、日本ホテル㈱ JR東日本ホテルメッツ本部 マーケティング・営業戦略グループ リモラインセンター 支配人 熱海 啓輔氏
日本ホテル㈱が運営する JR 東日本ホテルメッツ(以下メッツ)のチェーン 24 店舗は、タイムリープ㈱が展開する遠隔接客サービス「RURA (ルーラ)」を活用した非対面接遇サービス「ONLINE RECEPTION Remoline(リモライン)」を導入している。計 59 台の自動チェックイン機と RURA を連携させたリモラインは非対面の新しいおもてなしを実現する新しい仕組みで、モニター越しにリモラインセンターのスタッフが お客さまを出迎える。ホテルスタッフの案内がなくても自動チェックイン機の画面に沿ってスムーズに手続きができ、操作に困った場合も RURA を通じてスタッフが遠隔操作で文字入力やボタン押下してサポートする。 現在 27 名のリモラインスタッフのチームが生み出すチェーンオペレーションに挑戦する、メッツの新たな取り組みに迫る。
コロナ禍だからこそホテル業界でいち早く遠隔接客サービスの導入検討を始めた
──RURAを活用したリモラインを導入した背景を教えてください。
國井 メッツ本部は約10年前から、チェーンオペレーション強化のために業務のセントラル化を進めてきました。その流れの中でコールセンター構想も出てきたのですが、電話予約の比率が下がっている時代背景から宙に浮いてしまいました。その代替策として浮上したのが、薬局や銀行など他業界で導入されているリモートによるサービス提供のスタイルです。
ホテルは人による接客がすべてとも言える業態であることから、果たしてリモートによるサービスに可能性があるのかを探る必要がありました。そのタイミングでコロナ禍に入り、感染対策としての非接触のリモート接客は本格的な検討に入りました。
リモラインのベースには「四方よし」の考え方があります。GOP向上による会社の利益拡大、感染リスクの軽減、迅速な受付手続きのサポートによるCS向上、新しい職場の創造と人材確保・育成につながるES向上の四方よしを実現する仕組みを目指したのです。
現場のフロントスタッフの省人化、最適化を進めながらも、リモラインセンターの設置により効率的で丁重なサービスの提供を実行することで、メッツのブランドコンセプト「上質が息づく。」を体現したいと考えています。
──RURAはどのような経緯でメッツに採用されたのでしょうか。
望月 タイムリープは2019年6月に創業し、2020年夏からRURAの紹介を始めましたが、コロナ禍にあった当時は多くの企業で「それどころではない」という気運を感じる時期でした。ところがメッツ様は長期的な視点で「RURAを活用したシステムが必要」とチャレンジに意欲的な姿勢で、ホテル業界において圧倒的に早く導入を検討してくださいました。
メッツ様ではホテル空間にデバイスを馴染ませることを重視し、自動チェックイン機の上に通常よりも小さなサイズのRURAをスタイリッシュな形で設置するための試行錯誤が求められました。59台の自動チェックイン機とRURAを連携させたメッツのような事例は他になく、タイムリープにとっても新しいチャレンジとなりました。
──リモラインの導入に対するお客さまの反応はいかがですか。
熱海 クチコミを見ると、「リアルな接客よりもリモートの接客の方がいい」という好意的なコメントが全体の3割ほど寄せられています。
メッツのような小規模なホテルのフロントでは、どうしてもお客さまを待たせてしまう場面が生まれがちです。そのためリモートでスムーズなチェックインが行なえる仕組みを導入する事により、利便性を感じていただけていると思いますし、お客さまをお待たせすることによるスタッフの心理的な負荷も低減できます。
タイムリープ社の自動チェックインの遠隔サポートシステムRURAは、翻訳機能でインバウンドもリモートで接客。5言語対応で、ほぼリアルタイムで音声と文字でやり取りするコミュニケーションもオプションで提供している
現場のフロントスタッフがリモラインのサポートにもまわれる体制を構築した
──今後の目標を教えてください。
望月 ホテルは海外のお客さまに最初に日本のおもてなしを提供する場所です。タイムリープはRURAによる遠隔接客を通じてホテルの皆さまを支援し、「リモートによる日本のおもてなし体験は素晴らしかった」と海外の方々に言っていただける存在になりたいと思っています。
熱海 リモラインセンターでは1日にスタッフ1人あたり約150回の接客対応をしています。2024年は9月の段階で、累計約40万回の接客を行なっていることになります。
目白、国分寺、幕張豊砂の3拠点で展開しているリモラインセンターですが、拠点は違っても同じチームのメンバー同士という意識を醸成するために、強固なチームワークを築ける環境づくりに力を入れていきます。
國井 2024年3月25日に開業したJR東日本ホテルメッツプレミア幕張豊砂では、更なるマルチタスクを実現するため現場のホテルのフロント事務所内にはじめてリモラインブースを2カ所創りました。さらに2024年11月頃には、大森のフロント事務所にリモラインブースを2カ所稼働させる予定もあります。
必要な場面で現場のフロントスタッフがリモラインセンターのサポートにまわれる体制を構築し、リモートの利点を活かした場所を選ばない使い方を追求します。メッツのチェーンオペレーションにとってRURAを活用したリモラインの役割は今後さらに大きくなっていくはずです。