㈱フェイス 代表取締役 福永 有利子 氏
辰馬本家酒造㈱ 代表取締役社長 辰馬 健仁 氏
1662(寛文2)年、ときは江戸時代、4 代将軍・徳川家綱が江戸幕府を統制していたとき、「白鹿」ブランドで著名な辰馬本家酒造㈱が兵庫県西宮市で産声を上げた。そして今、356 年という悠久のときを越え伝統にあぐらをかくことなく、常に新たな挑戦をし続けている。“酒はつくるものではなく、育てるもの”という考えを受け継ぎ、食と会話を楽しめるシーンに寄り添える酒造りを目指しているのが辰馬健仁社長だ。海外から注目が高まる國酒・日本酒ではあるものの、造り手、売り手など人材不足は深刻化している。そこで今回は日本酒業界における現状と取り組みなどをお聞きした。
福永 歴史を拝見すると起源は約350年前にさかのぼります。江戸時代初期から平成という長い年月を越え、「白鹿」ブランドで今もなお灘五郷を代表する蔵元として日本酒造りをされていらっしゃいます。
辰馬 創業以来、約250 年後の1917(大正6)年に法人化し、業界に先駆けて海外へ積極的に進出するほか、人を育てる教育事業や地域文化を支える社会貢献にも尽力していました。第二次世界大戦により大打撃を受けましたが、350 年と言う歳月を経た今もなお日本酒を造り続けています。今は外国人を中心とした日本酒ブームとなり、海外輸出量も年々増加していますが、日本酒業界そのものは職人のなり手も含め、残念ながら斜陽産業として人気はありません。一方、外国人からは日本酒造りに対する関心が高まっており、日本の酒蔵で修業をして本国で酒蔵を設けるなど、日本酒そのものは世界に広まっています。海外輸出の強化に挑む酒蔵が増える中で、海外に酒蔵が増えることに抵抗を感じつつも、Sake の認知度がより高まっていくという意味においては奨励すべきことだと思います。いずれにしても日本酒業界に対する関心や興味が高まっている中で、いかに将来ともに挑戦し続けることができる人材を確保していくことができるかは課題材料の1つです。